第65回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)は1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間100キロのコースに36チームが参加して行われ、長崎県の三菱重工は4時間52分45秒で6位に入った。入賞は2年ぶり4度目。富士通が4時間48分52秒で12年ぶり3度目の日本一に輝いた。
三菱重工は1区定方が首位と3秒差の4位発進。3区的野で6位に下がったが、4区井上が区間賞争いを繰り広げて3位でつなぎ、後半区間も初出場の5区山下、7区江島が区間一桁順位で走って入賞圏内を維持した。
優勝した富士通は、東京五輪マラソン代表の4区中村匠が三つどもえの先頭争いからラストスパートで抜け出した。トヨタ自動車は2年連続2位。3位旭化成は区間賞なしで5連覇を逃した。
6位の成績以上に見せ場が多い100キロだった。三菱重工は1区定方、2区カンディエ、4区井上が一時は先頭に立ってレースを引っ張り、後半区間は若手が期待以上の好走を披露。黒木監督が「優勝を意識する駅伝をやれた」と胸を張る積極果敢な走りで新春の上州路を駆け抜けた。
1区は富士通、2区は日立物流、3区はGMO、4区は再び富士通。区間ごとに首位が入れ替わる接戦になった。三菱重工にとっては「トップ争いに顔を出さないと入賞すら難しい」という見立て通りの展開。前半4区間に主力選手を余さず投入する攻めの区間配置で、2年ぶりの入賞をたぐり寄せた。
新型コロナウイルスの感染が爆発的に拡大する中で開かれた大会。レース前、井上は「苦しい思いをしている人が大勢いる中、走っていいのかという迷いもあった。当たり前ではなく、たくさんの人の応援があって今がある」と胸中を明かしていた。「走らせてもらっている」立場として何ができるのか。そんな特別な感情が原動力になり、疲れた脚をもう一度前へと運んだ。
思い切りチャレンジして、体力が尽きても気持ちは切らさずに粘る。沿道応援が自粛された中、選手たちの気迫がテレビからでも伝わってくるような力走だった。