長崎県内景気 8カ月ぶり下方修正 日銀長崎支店「感染再拡大影響」

 日銀長崎支店が22日発表した昨年12月~今年1月の県内金融経済概況は、景気の総括判断について「緩やかに持ち直している」との基調を維持しつつも「足元では新型コロナウイルス感染再拡大の影響がみられている」と引き下げた。下方修正は8カ月ぶり。個人消費に足踏み感がみられ、観光が落ち込んだ状態になっている。
 下田尚人支店長は会見で「業態や業種ごとの(業況の)濃淡やばらつきが一段と拡大している」と述べた。国内でのワクチン接種開始や政府の追加経済対策の効果に期待する一方、個人消費と観光の下振れリスクを警戒。「感染が長引くようだとサービス関連産業だけでなく、物の消費にも響きかねない」との見方を示した。
 個人消費は前回調査(昨年11~12月)と同様、全体として徐々に持ち直している。このうち、物の消費は年明け以降も、巣ごもり消費や衛生品を中心に引き続き堅調。12月の乗用車新車登録台数は前年を上回った。これに対し、サービス消費は下振れ。夜間の外出が大幅に減り、不特定多数と対面接触する飲食・レジャー・宿泊関連が打撃を受けている。
 観光は前回調査時に「厳しさは残るものの持ち直しつつある」としていた判断から引き下げた。11月の主要ホテル・旅館宿泊者数や主要観光施設入場者数は、前年比マイナス幅が縮小したものの、12月後半からの感染拡大に伴い、政府の観光支援事業「Go To トラベル」が停止。宿泊予約キャンセルが相次ぎ、回復傾向にあった客室稼働率は再び減少に転じた。
 生産は「持ち直している」の判断を維持した。中でも、データセンターや第5世代(5G)移動通信システムなどデジタル化の進展を背景に、電子部品・デバイスの生産高は堅調。世界的に自動車産業の回復が早く、本県の半導体産業にも効果は波及している。機械・重電(原動機、大中型モーター、冷熱機器)や大手中堅造船は横ばい圏内。
 住宅投資や雇用・所得は弱い動き。公共投資や設備投資は高水準で推移している。


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