<若者の大麻汚染> 乱用すると脳が萎縮 長崎国際大 山本経之名誉教授

長崎国際大 山本経之名誉教授

 大麻乱用の問題に詳しい長崎国際大の山本経之名誉教授(薬理学)に、若者が大麻に手を染めることの危険性や背景について聞いた。
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 大麻には幻覚を引き起こす成分が含まれている。覚醒剤やコカインに比べ依存性は低いと言えるが、無害ではなく、異常行動につながる恐れもある。幻覚によって「リラックスした気分」になるのかもしれないが、その代償はあまりにも大きい。
 大麻を乱用すると、脳のいくつかの部位が縮んで小さくなることが確認されている。記憶に関係している海馬や、抑制中枢をつかさどる大脳皮質に萎縮が起こる。これは、脳が発達段階にある若年者の方が萎縮率が大きい。この点は強調したい。将来のある若者が乱用することは、より危険性が高いと言える。
 インターネットや会員制交流サイト(SNS)を通じて、簡単に大麻の情報に接することが可能になったことは確かに問題だ。しかし、それよりも問題なのは「なぜ若者が大麻にアクセスしようとするのか」ということだ。新型コロナウイルス禍で今、企業の倒産や失業者が相次ぐなど、社会が疲弊している。若者たちは将来の展望や夢を描けずにいる。
 薬物乱用は、知識だけでは防ぐことができない。若者たちも大麻を使用してもいいのか、悪いのかはある程度知っている。その上で、使用する人としない人に分かれている。
 肝心なのは「大麻よりも面白いこと」を見つけられるかどうかだ。それは大人の責任も大きい。自分の将来を一瞬の快楽のために台無しにするのか。違法薬物の知識だけでなく、自分で考えることができる知恵を、幼いころから身に付けさせることが重要だ。


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