神奈川・湯河原町議「秘密の漏えい当たらず」 処分取り消し求め提訴

湯河原町役場

 神奈川県湯河原町が町税滞納者などの名簿を町議会に提供して回収していない問題を巡り、1日間の出席停止処分とされた町議の土屋由希子氏(ゆがわら未来)は25日、長年回収されてこなかった名簿に本会議で言及することは秘密の漏えいに当たらないとして、同町に対し、処分の取り消しなどを求めて横浜地裁に提訴した。

 土屋氏は昨年9月、名簿が提供されていた町税等徴収対策強化特別委員会の秘密会の議事について、町議会本会議で言及。会員制交流サイト(SNS)でも公に発信したところ、他の町議から会議規則違反(秘密漏えい)に当たるとして懲罰動議が出された。

 町議会は本会議で陳謝文の読み上げを求めたが、土屋氏が拒否したため、1日間の出席停止処分とした。

 訴状によると、名簿には町税や介護保険料、上下水道料金などの滞納者約2千人の個人名、住所、滞納額などが記載されていたという。土屋氏は、プライバシー性の高い情報が10年近く回収されていないことを問題視した上で、「秘密の漏えいに当たらない」と主張。漏えいを前提とした懲罰処分は「不当」と訴えている。

 町議会事務局は、名簿を回収したかどうかについては「回答しかねる」としている。

 土屋氏は、処分取り消しに加え、議会広報紙への謝罪広告や名誉毀損(きそん)に対する50万円の損害賠償を求めている。25日に県庁で会見し「これは湯河原町だけの問題ではない。(数の力で)泣き寝入りしている全国の少数派議員に光明を与える裁判にしたい」と話した。

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