あの店の味をレトルトに 「ごと」と五島の飲食店連携 4種類販売、生産追い付かない商品も

地元飲食店と連携して開発したレトルト食品を手にする木下社長(左)と宮本部長=五島市吉久木町、ごと

 あの店の味をおうちでも-。五島市の食品製造業「ごと」が地元飲食店と連携し、各店の味を再現したレトルト食品を開発した。新型コロナウイルス禍で店舗営業が難しい各店に対し、ごと所有の加工装置を“貸し出す”ことで、各店の収入確保や販路拡大に協力しようと始めた事業。4種類が販売され、生産が追い付かないほどの人気商品も生まれている。
 ごとは、食品製造や通信販売、カフェなどを手掛ける。レトルト加工に必要な大型の加熱加圧殺菌装置を所有し、五島産のタイでだしを取ったレトルトカレーなどが人気だ。昨春から「巣ごもり消費」が拡大し、自社のレトルト商品の注文は大きく伸びたという。
 地元飲食店の味をレトルト化するアイデアは、木下秀鷹社長(39)が発案。1年以上の常温保存が可能なため、店舗営業ができない時期の売り上げ確保や、島内外に発送して多くの人に味を知ってもらう機会になると考えた。
 昨春以降、複数の店から打診があり、カレーとハヤシソース、シチューの4種類を商品化。ごと商品開発部の宮本雄一郎部長(51)は「レトルト加工のため加熱をすると、袋詰めした時とは味が変わってしまう。最終的に各店が目指す味になるように、塩分や粘度などの微調整を何度も繰り返した」と苦労を語る。
 このうち、創作郷土料理いつき(富江町)の出口誠料理長(46)は、五島牛や五島産のトマト、タマネギを使ったハヤシソースを新たに開発。ごとの調理場に出向いて千食近くを製造したが、注文が相次ぎ生産が追い付かない状況という。出口料理長は「和食料理人として、あっさりと食べられる味に仕上げた。コロナ禍で店は休業していて、今回のレトルト加工の取り組みには助けられている」と話す。
 ごとでは、他の店からもレトルト商品化の相談を受けており、木下社長は「現在のコロナ禍を乗り越えるだけでなく、アフターコロナを見据えた島外への販路開拓などにつながれば」と期待する。

◎商品とお店

 開発したレトルト商品は次の通り。ごとや各店などで販売している。
 ▽ファミリーいざかや入江の「五島の豚でブヒッとうまいメンチカレー」(495円)▽創作郷土料理いつきの「高級五島ハヤシ」(880円)▽五島ワイナリーの「五島牛を使ったビーフシチュー」(2人分1620円)、「五島豚を使ったトマトシチュー」(同1300円)

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