目指すは“チームの顔” 長崎ヴェルカ契約選手第1号 松本健児リオン トライアウト経て新天地へ

「持っている力をすべて長崎に注ぎたい」と意気込む松本=長崎市、長崎工高体育館

 昨年11月、バスケットボール男子プロクラブの「長崎ヴェルカ」が佐世保市で実施したトライアウトに参加。持ち味の激しい守備や機動力などが「目指すスタイルにふさわしい」と伊藤拓摩ゼネラルマネジャー(GM)兼ヘッドコーチの目に留まり、1月1日付で長崎ヴェルカの契約選手第1号となった。
 身長183センチでポジションはガード。これまでBリーグ2部(B2)で計4シーズンを過ごしてきた。名古屋経大卒業前の2017年3月、西宮に加入。当時、B1昇格に向けて首位を争っていたチームで「一切試合に出られなかった」。B2優勝の歓喜は味わえたが、体の強さや技術の差、何よりも「バスケットでお金を稼ぐ意識の差」を痛感。翌シーズンの契約更新もできなかった。
 次に入団した奈良で本格的なキャリアがスタート。学生時代まで苦手だった守備を磨いて「前から当たれるガード」に成長すると、プレーの選択肢も広がった。1年目は5分未満だった平均出場時間が、3年目の19~20シーズンは15分に。手応えをつかんできたが、20年3月、コロナ禍でシーズンが打ち切られた。
 その後も「常に諦めない心」を持って取り組んだものの、昨夏は各チームとの契約交渉が難航。引退の文字が脳裏をよぎる中、日々、朝と夜の練習だけは続けた。そんなころ、伊藤GMから「プレーが見たい」と電話があった。Bリーグ初年度の16年、B1で「エリート集団」と称されたアルバルク東京を率いた指導者からの誘い。あの時の開幕戦を見て「プロになろう」と志し、今の自分があるのを思い出した。
 トライアウトでは現時点での最高のパフォーマンスをやりきれた。伊藤GMの「まずは愛される選手に」という方針にも共感した。その後に届いた「来ていただきたい」のオファー。即決した。
 クラブハウスがある佐世保の街は、米軍基地がある地元の横須賀と雰囲気が似ているようで、歩き回るのも楽しみだ。伊藤GMが「コートの外でも本当に明るい」と評する26歳は「ヴェルカといえばリオンと言われる存在になりたい」と意気込んでいる。

 【略歴】神奈川県横須賀市出身。小学3年で競技を始め、北陸高(福井)3年の全国高校選手権(ウインターカップ)で4位。名古屋経大4年の全日本大学選手権でチーム初勝利と6位の原動力になった。2017年3月から特別指定強化選手としてB2西宮でプレー。同年8月、奈良に入団して3シーズンを送った。183センチ、83キロ。


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