【県内主要企業・団体トップアンケート】長崎県経済の活性化策は? 「地場産業再生・振興支援」最多 行政の後押しに期待も

長崎県の活性化策

 長崎新聞社と十八親和銀行系シンクタンク長崎経済研究所(長崎市)の県内企業・団体トップアンケートで長崎県経済の活性化策を聞いたところ、「地場産業の再生・振興支援」を選んだ回答者が74人と最多だった。多くの業種が新型コロナウイルス問題の影響を受ける中、行政の後押しを期待する声が上がった。
 活性化策への質問は、11の選択肢の中から三つ以内を選ぶ形式で、100人が答えた。「地場産業の再生・振興支援」は次点だった1年前の前回調査から14人増え、トップになった。
 選んだ理由として建設業の一人は「強い地場産業の育成が地域の活性化につながる」と回答。新型コロナの影響が長引く中、地域の雇用を支えてきた地場企業が維持、再生できるよう支援拡充を求めた。
 次に多かったのが「人材の育成と定着」の51人。前回から11人減った。若者の県外流出が進む中、ある宿泊業は「原因は何なのかを官民一体で考え、具体的な対策を考えるべきだ」と指摘。若者が定着するよう、地場産業の振興や企業誘致を一体的に進めるべきだとの意見もあった。
 このほか、「観光客の誘致促進」44人、「企業誘致の促進」33人。「新産業やベンチャー企業の育成・支援」は29人が選択し、卸売業の一人は「新型コロナ禍で働き方や産業構造の変化が起こっている」とし、新たな産業の育成や既存産業の変化に向けた支援の必要性を挙げた。
 県の基幹産業として伸ばしていくべき分野についても質問。六つの選択肢の中から複数を選んでもらい、94人が答えた。
 最も多かったのは「観光関連」の65人。11月には、JR長崎駅西側にMICE(コンベンション)施設「出島メッセ長崎」が開業予定。22年秋には九州新幹線長崎ルートの暫定開業も控える。こうした動きを踏まえ、観光での活性化に期待感を示す運輸業の一人は「交流人口の増加につながる機会を最大限活用し、地域経済の活性化を図る必要がある」とした。
 新たな再生可能エネルギーの選択肢の一つに挙げられる「海洋エネルギー関連」は47人。近く五島市沖では国内初の大型潮流発電の実証実験が始まる。海に囲まれた本県の地理的環境を生かした新産業の創出への期待がうかがえる。
 この他、「農業・漁業」は43人。県が本県の基幹産業への成長を目指す「ロボット、人工知能(AI)、IoT(モノのインターネット)関連」は23人。「その他」を選んだ回答者の中には、航空機産業の成長や造船業の復活を望む意見があった。


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