弁当、デリバリーに活路 昨春開業のレストラン 営業形態を模索 補助金などを活用

デリバリーや日替わり弁当を始めたアルティスタの井上さん夫妻=長崎市万才町

 新型コロナウイルス感染拡大で県内の飲食店に営業時間短縮要請が出される中、各店は収入確保へ弁当販売やデリバリーなど営業形態を模索している。開業直後からコロナ禍に巻き込まれながらも、補助金を活用して営業を続ける長崎市内の店を取材した。
 昨年4月に開業した同市万才町のレストラン「アルティスタ」は、壱岐牛のハンバーグやカレーが看板メニュー。外食を控える人が増えていることを受け、1月27日からデリバリーを始めた。メニューはカレー(600円)と旬の魚を使った魚日替わり弁当(500円)。店主の井上雄太さん(29)は「お客さんが何を食べたいか考えて魚も始めた。食べに来てとは言えないので、こちらから動いていく」。配送料は無料だ。
 市中心部のビジネス街に妻と構えた念願の店。オープン直後に1度目の緊急事態宣言で休業を余儀なくされた。国の持続化補助金や家賃補助は、前年同月比での収入減が要件。開業から日が浅いと恩恵は受けられず、貯金を取り崩してしのいだ。人通りが戻ると固定客も付いた。夏の第2波も乗り越え、軌道に乗り始めたころ、第3波が襲った。
 昨年11月から客足は減り始め売り上げが激減。長崎商工会議所の経営相談窓口に駆け込むと、開業時期を問わず申請できる日本商工会議所の小規模事業者持続化補助金を紹介された。補助金は「非対面型ビジネスモデルへの転換」などへの投資が対象。レストラン営業を縮小してデリバリーに活路を見いだすことを決断し、配達用バイクの購入、ホームページ作成などを計画。申請は採択された。
 補助金は後払いのため、先立つ資金は日本政策金融公庫のコロナ特別貸付を利用した。この特別貸付は最近1カ月の売上高が直近3カ月の平均より5%下がったことが要件。井上さんの店の場合、開業から半年以上が経過した今回、11月の売上高が3カ月平均より30%減り、当てはまった。
 デリバリーを始め1週間。弁当が完売する日もあればあまり出ない日もある。店舗でのランチ営業を続けながら、少しずつデリバリー中心にシフトしていく予定だ。井上さんは「今できるやり方で、手作りで安全安心なものを提供していく。お客さんや商議所、公庫の後押しに応えるために頑張りたい」と前を向く。
 長崎商工会議所の担当者は「情報網を使ってできる提案がある。気軽に窓口を利用してほしい」としている。

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