歓楽街に久々の笑い声 長崎県内 20日ぶり時短解除 感染対策徹底も客足に不安

8日から通常営業を再開した店もあり、常連客らの楽しい会話が聞こえていた=長崎市浜口町

 新型コロナウイルス新規感染者数が落ち着いてきたとして、長崎県内飲食店に対する県の営業時間短縮要請は8日、解除された。長崎市内の歓楽街では1月19日以来、20日ぶりに営業を再開したり、深夜まで酒を提供したりする店が見られた。だが、客足が戻るか不安という声も漏れ聞こえた。
 カウンター席の常連客は席を一つずつ空けて座り、ジョッキを傾けた。休業明けの居酒屋「味処谷ぐち」(浜口町)にいた男性客は「感染予防策はしっかりやる。油断は駄目」。久々に客の笑い声が響く店内でオーナーの門下孝秀さん(42)は「うれしい。でも客足が戻るまでもう少しかな」と複雑な表情を見せた。
 同じく営業を再開した居酒屋「酒処んだ」(千歳町)。男性会社員客(47)は「街があって人がいて地域が成り立つ」と早速訪れた。店主の峯昌子さん(51)は「『来てください』と言いづらい中、気に掛けてくださり、ありがたい」とほほ笑んだ。
 県は要請期間中の午後8時以降を見回りした結果、直接要請した約1万軒のうち9割以上が応じたとみている。ただ長崎、佐世保両市はいまだ病床が逼迫(ひっぱく)し特別警戒警報が継続中。21日まで「不要不急の外出自粛」が求められている。

 ある立ち飲み屋(岩川町)は通常営業に戻したが客足は今ひとつ。オーナー(86)は「たくさん来てほしいが、怖くもある」とジレンマを口にした。近くの居酒屋オーナー(50)も「人が動けば感染者が増えるかも」と不安げだが、50代の男性2人組は「久々に笑い合って酒を飲めた。家で飲むのと気分が違う。今日はいい酒だ」と満足そう。思案橋の呼び込みの男性は「まだ緊急事態宣言中の福岡から客が流れて来るのでは」と期待をつないだ。
 居酒屋「博多うずまき長崎思案橋店」(鍛冶屋町)は時短中に弁当販売を始めた。木下恒哉店長(24)は「外出自粛要請が出ているからか歩く人もまだ少ない」。カフェ&バル「さくら亭」(同町)のオーナー、上田博文さん(61)は「この日を待っていた。でも前みたいにコンスタントに客が来てくれるか」と手探りを続ける。
 時短明けのカラオケスナック(銅座町)。1月の売り上げは3分の1以下。「飲めるようになってよかったばい」。客は上機嫌だが2人だけ。ママがつぶやいた。「コロナのせいで『飲みたい』っていう流れがなくなった」


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