【共同通信杯】エフフォーリアが後続を力でねじ伏せてクラシック戦線へ 横山武「3連勝で重賞を勝てましたし当然、次はGⅠですね」

右ムチを振り上げて勝利をアピールする横山武=エフフォーリア

3歳クラシック戦線で重要な位置にあるGⅢ共同通信杯(東京芝1800メートル)は、横山武騎乗の4番人気エフフォーリア(牡・鹿戸)が好位追走から抜け出して2馬身半差の快勝。デビューから無傷の3連勝で重賞初制覇を飾り、一気に4・18皐月賞の有力候補へ浮上した。

ダイナガリバー、アイネスフウジン、ナリタブライアン、ジャングルポケット。グレード制導入の1984年以降で勝ち馬から4頭のダービー馬を送り出した“出世レース”がこのGⅢ共同通信杯だ。ただし、近年は直行ローテが主流となったこともあり、有力馬が分散化。年によっては“登竜門”と呼ぶには物足りないこともあった。

勝ち馬の3歳クラシック制覇は16年ディーマジェスティ(皐月賞)が最後。今年の出走馬12頭の内訳も重賞勝ち馬は1頭だけで、1勝馬が8頭とやや寂しい組み合わせだった。GⅡ弥生賞ディープインパクト記念(3月7日=中山芝内2000メートル)から始動する昨年のJRA賞最優秀2歳牡馬ダノンザキッドに挑戦状を叩きつけるには、結果のみならずインパクトの大きい内容が必要とされたが…。満点回答で応えたエフフォーリアには、クラシック本番で主役を張る資格があると言えよう。

「前走(百日草特別)の時はテンションが高かったですが、今日は落ち着きがあって返し馬でもリラックスしていました。あとはボクが力さえ引き出せば、と自信を持って乗りました」

昨年の関東リーディングジョッキーに輝いた横山武は、ゲートインの時点で好走を確信して疑わなかった。選択した作戦は外めの好位3、4番手という横綱相撲。残り400メートル過ぎで抜け出すと、ラスト2ハロンを10秒8→11秒5でまとめるラストスパートに他の11頭はなす術もなかった。3頭がタイム差なしというシ烈な2着争いを尻目に、2馬身半という決定的な着差をつけて先頭でゴールイン。まさしく“スター候補誕生”の瞬間だ。

「積極的にポジションを取りに行っても、折り合いは問題ありませんでした。さらに距離が延びた時はともかく、勝っている2000メートルまでなら」(横山武)と、皐月賞に向けては特に課題は見つからない。

「放牧から帰ってくるたびに馬がしっかりしてきました。今日は瞬発力を発揮してくれましたが、札幌で小回りの右回りも克服しています。中山でも問題はないでしょう」と管理する鹿戸調教師の見立ても同じだ。

今後は福島県のノーザンファーム天栄に放牧に出され、皐月賞(4月18日=中山芝内2000メートル)へは直行が濃厚。「勉強熱心だし、何よりガッツがある。この馬には合っているよね」と鹿戸調教師が信頼を寄せる鞍上も「3連勝で重賞を勝てましたし当然、次はGⅠですね。デビューからずっと乗せていただいている馬で勝てれば本当にドラマみたい」と横山武は腕をぶしている。

人馬揃ってのGⅠ初制覇達成となれば“候補”ではなく真の意味でスター誕生となるだろう。

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