「もっとウキウキしてもらいたい」ソフトバンク・王会長がいない時ほど打つリチャードの信念

紅白戦で特大弾を放ったソフトバンク・リチャード

〝世界の王〟を魅了する長距離砲が再び結果を出した。ソフトバンクのリチャード内野手(21)が15日に行われた紅白戦で特大弾で「開幕一軍」を猛アピール。通算10勝の左腕・大竹が投じた低めの変化球を弾丸ライナーで左翼ポール際の中段まで運んだ。

キャンプ序盤に王貞治球団会長(80)のお墨付きをもらって始めた「脱力打法」が身についてきたようだ。本人によればこの日の一発は「5割くらいのスイング」で、10日のシート打撃でも「6割程度の力」で特大弾をかっ飛ばした。

有言実行の恩返し弾でもあった。入団以来、無限の可能性を秘めたリチャードに王会長は〝首ったけ〟。この春も熱の入った直接指導を連日敢行し、そのハッスルぶりには球団内から「会長は5歳くらい若返られたんじゃないか」との声も聞こえてくるほどだ。

そんな王会長の熱意が原動力にもなっている。以前には「あれほどまでに熱心に教えてくださる方はいない。だから『会長を喜ばせたい』『もっとウキウキしてもらいたい』という気持ちが自然と沸くし、それが僕のモチベーションになっている」と語っていた。リチャードは「会長の目の前で打つのも恩返しですが、僕は会長がいらっしゃらない時ほど『打った』というニュースを届けたい。遠方にいても届くくらい頑張らないといけないと思っているんです」とも付け加えていた。

2019年秋季キャンプで王会長の熱血指導を受けると、直後の台湾ウインターリーグで本塁打王を獲得。昨春キャンプでは「(王会長が滞在する)東京まで届くといいな」と実戦2連発をかました。王会長は11日に所要のためキャンプ地を離れたが、今回もリチャードは心の中で「会長に届け!」と叫んでいたに違いない。

今キャンプの指導の中で「追い込まれたら打撃が全然変わってしまう」と指摘されていたが、この日の一発はカウント2―2から放ったものだった。リチャードは世界の王の大きな愛を120キロの大きな体で受け止め、それを力に変えて特大アーチを描き続けていく。

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