「髪染め訴訟」で大阪府に賠償判決 弁護士でもある吉村府知事が指摘した2つの論点

吉村府知事

大阪府の吉村洋文知事(45)が16日、大阪府庁で報道陣の取材に応じ、府立懐風館高の元女子生徒(21)が、生まれつき茶色い髪を黒く染めるよう教諭らに強要され不登校になったとして、府に慰謝料など約220万円の損害賠償を求めた訴訟について言及した。

大阪地裁はこの日の判決で、茶髪を厳禁とする同校の校則は学校の裁量の範囲内で頭髪指導は違法とはいえないと認定した。しかし、生徒が不登校になった後、名簿から名前を削除するなどした対応については許されるものではないとして、33万円の賠償を府に命じた。

吉村氏は判決について「論点が2つある。1つはもともと黒髪だったかどうかの事実認定と、教育指導のために髪を染めるのが校則として許されるのかという論点。もう1つは生徒を名簿から外したのが違法ではないかという論点」と述べ、後者について「名簿から削除したのは絶対に間違っていると思うし、当初から不適切だと教育庁から学校に指導もしている。ここについての違法性はその通りだと思うし、不服もありません」と語った。

一方で、前者については「判決の内容をしっかり見てから適切に対処したい」とした上で「もともと地毛が茶髪の方を黒髪に染めろというのはあってはならない。差別となるし、あるべき姿ではなく許されない。でも、茶髪はダメだというのを教育指導の観点からするというのは学校によっては必要な範囲内と思っている」との認識を示した。

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