21年度長崎県予算案から<2> コロナ対策 県央で指定医療機関拡充

県内の感染症指定医療機関と感染症病床数

 新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが立たない中、県は感染拡大防止や、収束後を見据えた産業の強化・推進の対策費として406億円を計上した。中村法道知事も前例がないと認める規模。「まさにコロナと向き合い、乗り越えていくための予算」という言葉は大げさではない。
 県内医療体制などを管轄する福祉保健部のコロナ関連予算は103億円、35事業。新規事業では、感染症治療の中心を担う第2種感染症指定医療機関の拡充に取り組む。諫早、大村両市を中心とする県央医療圏で2病院を追加する考えで、ウイルスを含む空気を外に漏らさない陰圧装置を備えた感染症病床整備を支援する経費1億1400万円を盛り込んでいる。
 県内の指定医療機関は現在10病院。エボラ出血熱など危険度が高い「1類感染症」に対応できる長崎大学病院が第1種で、残りの9病院が第2種。県内八つの2次医療圏ごとに1~2カ所ずつ指定されている。
 拡充のきっかけの一つは、第2種の大村市民病院が昨年9月末、専門医の退職で後任確保が困難として県に指定辞退届を提出したこと。今年9月末で指定が取り消される予定で、空白地区にならないよう早急に対応する必要が生じた。
 第2種は原則1医療圏ごとに1カ所指定。人口30万未満は4床、30万~100万未満は6床など感染症病床の配置基準がある。県央の拡充は医療体制が逼迫(ひっぱく)した現状なども踏まえ、他の医療圏から患者を受け入れやすくする意図もあるという。
 仮に新型コロナが収束しても、将来的に未知のウイルスが出現する可能性がある。今だけではなく、未来も見詰める。中田勝己県福祉保健部長は「県民に安心して医療を受けてもらえる体制整備。次への備えとしても非常に有効な投資になる」と話す。
 全医療圏にドライブスルー方式の検査センターや軽症者用宿泊療養施設をさらに1年間継続するための予算なども計上。県内でもクラスター(感染者集団)が発生した高齢者施設や児童福祉施設の感染防止対策などにも引き続き力を入れる。


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