「投資早めコロナ禍回復へ」JR九州社長 新長崎駅ビル開業 2023年秋に前倒し

新駅ビル(後方左)前に広がる東口駅前広場。かもめ広場は現在より西側に移動する。長崎駅舎(中央奥)から手前に延びるのが歩行者道路「東西軸」。屋根はエスカレーターなどで高架デッキ(手前)につながる(長崎市提供)

 JR九州は15日、長崎駅(長崎市尾上町)隣接地に整備する新駅ビル計画について、2025年度の全面開業時期を23年秋に前倒しすると正式発表した。新型コロナウイルス感染拡大による業績悪化を受け投資計画を見直し、長崎市内で会見した青柳俊彦社長は「長崎は逆に投資のリターンを早く得るべきと考えた」と述べた。

 22年秋の九州新幹線長崎ルート暫定開業との時間差を「できるだけ縮めたい」とも強調。「コロナ禍からの(地域経済の)回復を早めることにも役立てるのではないか」とした。
 新駅ビルは13階建て(高さ約60メートル)。JRの修正計画によると、延べ床面積を約11万4千平方メートルから約10万2千平方メートルに縮小。うち商業フロア約4万1千平方メートルは変えないが、「1~3階」から「1~4階、一部5階」に変更する。オフィスフロアは「約4~6階の約1万平方メートル」から「5~6階の約9千平方メートル」に抑える。
 駐車場は当初、ビル内に1300台分を設ける予定だった。既存の立体駐車場(5層6階)を残した上で、もう1棟(7層8階)を隣に新設。計約1500台分に引き上げる。

南側の県庁付近から見た新駅ビルのイメージ図。手前左から長崎駅舎(在来線)、同(新幹線)、新築する立体駐車場、既存駐車場、アミュプラザ長崎。中央奥の高層部分はマリオット・ホテル(JR九州提供)

 19年発表の計画では、23年春に商業・オフィスを先行開業。25年度に外資系高級ホテル「マリオット・ホテル」を含めた全面開業を目指すとしていたが、工法を見直し工期を短縮した。
 同日は駅舎北側の高架下店舗(約4千平方メートル)の起工式が現地であり、中村法道知事や田上富久市長らが出席した。オープンは新幹線暫定開業に合わせる予定だったが、22年春に半年早める。「長崎らしさ」をコンセプトに土産や飲食など地元テナントを中心に約50店を入居させる予定。
 一方、市も同日、駅周辺の整備イメージ図を公開した。国道と駅舎を結ぶ歩行者道路「東西軸」は幅30メートルで、うち幅10メートルに屋根を設ける。エレベーターやエスカレーターで高架デッキや路面電車停留所とつなぐ。市によると、東口駅前広場などと同じ24年度供用開始を予定している。

長崎駅周辺再整備スケジュール

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