かつて愛川に飛行場が― 動画に見る中津台地の変遷 神奈川

戦後間もないころ、飛行場だった中津台地を開墾する青年団。後ろの建物は陸軍飛行場時代の飛行機の格納庫(愛川町提供)。動画に収録されている

 神奈川県愛川町は、戦時中に旧陸軍の飛行場が造られ、高度経済成長期に県内陸工業団地へと変貌を遂げた中津台地の歴史をまとめた動画を制作した。動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開している。22日からは町役場で千円で販売も始める。

 動画は「復活の台地 愛川百年旅SPECIAL」(約10分)。

 中津台地は江戸~大正時代には桑畑で、撚糸(ねんし)産業を支える礎になっていた。動画では、町郷土資料館の山口研一学芸員が解説役として出演。陸軍が1940年に飛行場用地として買い取り、当時の飛行場の雨水排水溝が現在も内陸工業団地の排水路として使われていることなどを解説している。格納庫の基礎やコンクリート製の通信室などが残されていることも紹介している。

 戦後間もない48年に中津台地を開墾した青年団の男女が格納庫を背景に撮影した写真など約20枚や、ニュース映画の映像なども取り入れ、かつての様子を分かりやすくたどれるようになっている。当時、青年団員だった中村直一さん(94)も出演し、思い出話を披露している。

 高度経済成長期の66年には、県内最大規模の総面積234万平方メートルの工業団地に生まれ変わり、現在も町経済の中心を担っていることも伝えている。

 制作した町総務課は「戦後75年を経過し、中津に陸軍の飛行場があったことを知らない子どもたちも多い。地域の歴史を後世に伝えるために役立てたい」としている。

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