【渡辺薫＆柏木集保「私たちはこう見た」・スプリングＳ】
渡辺 不良には至らずとも、見た目にひづめがのめり込むような極悪馬場。１分５２秒０の勝ち時計が示す通り、レースは完全にパワー勝負だったな。
柏木 重馬場の巧拙が結果に反映した印象で、キャリアの浅い人気どころは余計にこたえた気がします。
渡辺 その半面、勝ったヴィクティファルスは外枠が結果的に幸いした。終始、馬場のいいところを選んで走って、直線も大外に出せたのが最大の勝因だったと思う。
柏木 前走の共同通信杯は何とか２着争いを制した内容でしたが、強敵相手の競馬がいい経験になったのかもしれません。
渡辺 ２着アサマノイタズラは、前走の水仙賞（４着）が鞍上がうまく乗れば勝っていた競馬。こういう馬場もうまそうな体つきだし、終始、外を走れたのも良かったかな。
柏木 対照的に１番人気のボーデンは１、２角でかかって、インに入れざるを得ない形。その時点でバッターアウトでしょう。パドックや返し馬の気配はすごく良かったけど、精神面の若さが出ましたね。この敗戦が勢いをそぐ形にならなければいいのですが…。
渡辺 良馬場なら見直せるよ。それより深刻なのは７着に沈んだランドオブリバティだろう。折り合いを欠くシーンがあったとはいえ、このメンバーで掲示板にも残れないんだから。
柏木 前走のきさらぎ賞３着もレースになっていませんでした。外に壁をつくる意識もあったのでしょうが、終始苦しい運びになってしまいました。一戦ごとに相手が強化されるクラシック戦線でこの後退は痛いです。
渡辺 ダノンザキッドが弥生賞で３着に敗れてから牡馬戦線はがぜん、混戦模様になってきたな。ヴィクティファルスの勝利で共同通信杯を制したエフフォーリアの評価は上がりそうだし、若葉Ｓを勝ったアドマイヤハダルも含めて、まだ力関係は混沌としている。
柏木 これなら皐月賞は我ら穴党の出番も十分ありそう。ありがたいことですよ（笑い）。
