阪神ドラ1佐藤輝は「打率.280、20発はいく」 名外野手が挙げる期待の若手は?

阪神・佐藤輝明(左)とヤクルト・奥川恭伸【写真:荒川祐史】

開幕ローテ入りの燕・奥川「登板を重ねるごとに成長していける投手」

26日に開幕するペナントレースでブレークが見込める新人、もしくは若手は誰か。現役時代にヤクルト、楽天で外野手として活躍し7度のゴールデングラブ賞を受賞した野球評論家、飯田哲也氏は、セ・リーグでは阪神のドラフト1位ルーキー・佐藤輝明内野手(近大)、パ・リーグではプロ3年目を迎えた20歳のロッテ・藤原恭大外野手を1番手に推した。

佐藤輝がオープン戦で残したインパクトは強烈だった。12試合に出場して12球団最多の6本塁打を量産し、打率.302、9打点。飯田氏は「シーズンでも打率.280、20本塁打はいく」と太鼓判を押す。「飛距離が凄い。打ち損じでもフェンスを超える。本人も『完璧でなくてもホームランになる』と自信を得たのではないか。公式戦でも、エース級を打つのはなかなか難しいが、2線級以下はかなりの確率で打つと思う」と分析。中軸を期待する声もあるが、「マルテ、サンズの両外国人と大山が好調だけに、当面はオープン戦同様6~7番で気楽に打たせる方がいいのではないか」と見る。

高卒2年目のヤクルト・奥川恭伸投手は、昨年11月10日の広島戦(神宮)に先発し1軍デビューしたが、2回9安打5失点と打ち込まれて敗戦投手となった。今年は21日の西武とのオープン戦に先発し、5回途中3失点だったが、最速151キロの速球とスライダー、フォークが冴えて3者連続を含む4三振を奪い、開幕ローテ入りへ前進した。ヤクルトOBでもある飯田氏は「投げるたびに良いものを出してきている。西武戦の投球ができれば、プロ初勝利は近い。登板を重ねるごとに成長していける投手だと思う」と期待。先発投手陣が手薄なチームの台所事情を救えるか。

3年目・20歳の中日・根尾昂内野手も開幕1軍の座を射止めた。スイングは力強さを増しているが、飯田氏は「まだまだ打撃が粗い。結果的にヒットになっても、『打つべくして打った』というものが見えない」と注文をつけた。

ロッテ・藤原恭大【写真:荒川祐史】

中日・根尾、オリックス・太田には「プロで生きていくための」注文

パ・リーグでは高校時代に根尾のチームメートとして3度の全国制覇を成し遂げた藤原がイチオシだ。昨年も10月に1軍昇格し公式戦26試合、クライマックスシリーズにも出場し、今季へ足掛かりをつくった。オープン戦打率.163と数字は上がらなかったが、「ボールにバットを合わせる技術が高く、追い込まれても粘り強い。とんでもない低めの球をヒットにする天才的な所もある」と高く評価。「シーズンでも打率3割を打ってほしい」と期待する。

楽天のドラフト1位・早川隆久投手は順調に開幕ローテ入り。14日のDeNAとのオープン戦では4回1安打5奪三振無失点と完璧だったが、続く21日の巨人戦では中島、坂本に一発を浴び、5回途中5失点でKOされた。飯田氏は「大学時代とは違い、プロは上位から下位まで甘い球を見逃してくれない。打たれた時に、前向きに反省して修正するか、『こんなはずではなかった』と落ち込んでしまうかで、1年目の成績は大きく変わる」とエールを送る。

ドラフト1位で入団し3年目の20歳、オリックス・太田椋も大型内野手として二塁のレギュラー定着が期待される。常時フルスイングが魅力だが、飯田氏は「自分がどこを目指すのか、どういう選手になっていきたいのか、おそらく本人もまだ明確でないと思う」と指摘する。「西武の山川のように“当たればホームラン”というくらいパワーがあるなら、今のままのスイングで構わないが、太田の場合は確実性を上げることが求められると思う」と見ている。

太田に限らず、自分の特長を把握し、目指す選手像を確立することは、「プロで生きていく上で必須」。飯田氏自身、プロ4年目に監督に就任した故・野村克也氏の助言もあって、「守備と足を武器に、相手が嫌がる脇役として生きていく」と心に決め、以後は捕手から内野、さらに外野へとコンバートされても変わらなかった。自分の生きる道を見つけ、まばゆい輝きを放つ若手が、今季は何人現れるだろうか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

© 株式会社Creative2