最下位は「外国人不在が大きすぎます…」 日米通算234セーブ右腕がセを占う

中日のビシエド、DeNAのソト、ヤクルト・内川聖一(左から)【写真:荒川祐史】

巨人は戦力にマイナス面なし、阪神は投手力が充実

26日に開幕するプロ野球。開幕直前企画の順位予想、今回はセ・リーグ編となる。リーグ3連覇がかかる巨人の前評判がやはり高いが、ロッテ、米大リーグ・インディアンスなどで日米通算234セーブを挙げた小林雅英氏はどう見ているのか。

1位 巨人
2位 阪神
3位 中日
4位 広島
5位 ヤクルト
6位 DeNA

「ジャイアンツが1位だとつまらないですよね」と悩んだが、やはり小林氏の予想も優勝は巨人。菅野がメジャー移籍を断念して残留し、FAで井納、梶谷と投打で主力級の選手を獲得するなど、戦力的にマイナス面が少ないことを評価した。

「菅野のモチベーションの低下を指摘する声もありますが、影響はないと思います。彼の場合は、行けなかったわけではなく、選択肢として残留がベストだったということなので、問題はないはず。逆に結果を残せなかった時の方がいろいろと言われる可能性もあるので、より頑張るということも考えられます。梶谷は環境が変わった中で、いかに今まで通りの自分の野球ができるか。レギュラーの座も決して安泰というわけはないので、ベンチスタートになってもモチベーションを保てるかが重要になると思います」

昨年はぶっちぎりのリーグ優勝だったが、今年はそうはいかないはず、と小林氏は加える。「セの他球団の情勢を見ると、昨年ほど抜けているという感じではないですね。井納が加入したとはいえ、先発ローテの6人の名前がすぐに挙がるかと言えば、意外にそうでもない。本来はセットアッパーが適任と思える中川が抑えに回ったのもチーム事情によるもので、見方を変えると駒不足という不安もあります」

対抗は阪神。逆転の可能性も十分にある2位予想だと言う。「開幕投手に指名された藤浪の表情と投げっぷりが昨年とは全然違います。今年はマウンド上で首をひねる仕草も見られなくなったし、とにかく堂々と投げている。開幕戦でしっかり結果を出せば、本人もチームもいい波に乗れるのではないでしょうか」と近年不振にあえいでいた右腕が復活すると予測する。

さらにはチェンの加入も大きいという。「中日にいた時のような圧倒的な投球はできないかもしれませんが、昨年もロッテで勝ち星はつかなくてもゲームを作る能力が高いことを示しました。もともと巨人よりも先発の頭数が残っているところにこの2人が機能すれば、スアレスを中心としたリリーフ陣も含めて、リーグ屈指の投手陣になると思います。新人の佐藤輝も本人の成績だけでなく、周囲の選手にもいい刺激になるはずだし、今年は巨人と阪神の優勝争いが見られるかもしれませんね」。

中日は投手力、広島は「勝ちに飢えてきているはず」

CS圏内の3位は2チームの争い。特に昨年も上位に予想していたという中日に関しては口調も熱くなった。「昨年もいいところまでいって、途中でちょっと息切れしてしまいましたが、最後にいい形で盛り返していました。強みは投手力と球場ですね。ホームランが出にくい点を投手陣がうまく利用して、逆に打撃陣はそんな状況で点を取る作戦ができれば大きなアドバンテージになるでしょう」と予測する。

「野手は外国人次第ですが、ビシエドが早い時期に来日しているので心配はないでしょう。開幕投手に指名された福谷は、リリーフから先発になってまたひと皮剥ける気もしますし、大野雄の負担を軽減するという意味でも、面白い選択だと思います」

3位を争う広島は、リーグ3連覇時からの微妙な変化を指摘した。「メンバー的には強かった時期とそれほど変わらないと思いますが、当時に比べると、選手たちにがむしゃらさのようなものがなくなったというか、ガツガツしたところがなくなったように見えます。丸がいなくなったということもあります」と指摘したした上で、こう語る。

「菊池涼や田中広は年齢的にも一番いい時期ですし、鈴木誠という柱もいる。彼らはこの2年間、悔しい思いをしたと思うので、そろそろ勝ちに飢えてきているはず。投手陣も大瀬良や森下らがいますし、抑えに抜擢されるルーキーの栗林を周囲の選手がうまくカバーできれば、戦力的には上位に見劣りしないものがある。元気のいい河田さんもヘッドコーチとして復帰したので、選手が3連覇時のような気持ちを取り戻せば、また変わってくるのではないかと思います」

下位の2チームはヤクルトとDeNA。投打で外国人頼みになっている状況で、開幕からの影響が大きいことがその理由だと言う。「ヤクルトは先発が足りない状況でしたが、田口が移籍したことで、環境が変わってどれだけやれるかに注目しています。彼の加入で石川や他の左腕投手も刺激を受けているはずです。それから何と言ってもバンデンハーク。彼がどれだけ早くチームに合流できるかで、情勢は大きく変わると思います。奥川ら可能性のある選手も少なくないので、そこにも期待したいですね」。

野手では通算2117安打の内川が加入した。「内川はパワータイプの投手が少ないセ・リーグなら、もう一度3割を打てる力はあります。また、あれだけ実績のある右打者が加わることによって、近年はちょっと元気がなかった山田にもいい影響を及ぼすのではないでしょうか」

最下位予想のDeNAは開幕時にメンバーが揃わないことが全てのようだ。「ソト、オースティンの不在は大きすぎます。エスコバーを欠くのもブルペンには痛手になります。ケガからの復帰組でも、今永と東の両先発左腕の復帰がいつになるのか。メンバーが揃わないうちに開幕して負けが込んでしまうと、そのままズルズルいってしまう可能性も高いし、とにかくベストに近い陣容に戻るまで、どれだけ粘れるかが重要になると思います」

混戦が予想されるセ・リーグだが、小林氏の見解では優勝争いのAランクからB、Cランクと2チームずつに分かれる展開となるようだ。外国人の来日問題が一日も早く解決して、またどこが優勝するのかわからないようなペナントレースも見たいものだ。(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)

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