【センバツ】終戦…うなだれる市和歌山・小園に大親友松川が「謝るな!」と返したワケ

松川(右)と話す小園。あっけなく春は終わった…

第93回選抜高校野球大会(甲子園)第7日の26日に、プロ注目バッテリーを擁する市立和歌山(和歌山)は1―2で明豊(大分)に惜敗。最速152キロの小園健太投手と高校通算31本塁打を誇る松川虎生捕手(ともに3年)の春が終わった。

小園は0―1の5回から2番手で登場。先発を回避したのは「1週間500球」の球数制限を考慮し、決勝から逆算してエースを効率的に起用するチームプランだった。6回に松川の適時打で同点に追いつくも、直後の7回に小園が痛恨の勝ち越し打を許し、そのまま押し切られた。

〝公立で全国制覇〟の夢が夏に持ち越しとなった小園と松川は大阪・貝塚ヤング時代からの盟友。中学3年夏に全国優勝を成し遂げている。松川が小園に声を掛けて市立和歌山に入学。松川の父・倫久さん(43)は「2人一緒ならまた勝てる。そんな思いがあったのではないでしょうか」と息子の思いを代弁する。

グラウンド内外を問わず仲がいい。ベンチでは松川が笑顔で声をかけながら小園の右肩をさするとエースは笑顔で相づちを打つ。チームメートによれば「登校前の部室で朝の7時からじゃれ合う仲」と普段から息はピッタリ。「小園本人が『一度も松川のサインに首を振ったことはない』と言うほど信頼している」(チーム関係者)という。

そんな仲睦まじい姿は〝ジュニア〟たちだけではない。この日の三塁側アルプス席には一定の距離を取りつつも、小園の一球一球について言葉を交わす人たちがいた。小園の父・宏幸さん(48)と倫久さんだ。「親同士も仲いいですね」(倫久さん)。2人は互いによく電話をかけあう仲で、この日も息子たちのプレーに思いを重ねて観戦。敗れはしたが、2度目の全国制覇を狙う息子たち同様に夏のリベンジを誓って甲子園を後にした。

試合後に「ごめん」と声を掛けた小園に対して「謝るな。夏また帰ってくるぞ」と返した松川。二人三脚、親子四人五脚で夢を追う。

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