「歌会始の儀」 コロナ禍 学校生活詠む 柚木中1年 久田さん佳作

佳作に選ばれ「すごく光栄」と喜びを語る久田さん=佐世保市立柚木中

 「歌会始の儀」の一般応募のうち、長崎県からは佐世保市立柚木中1年の久田桃香さん(13)の作品が佳作に選ばれた。新型コロナウイルス禍で学校生活にさまざまな影響が及んだことを思い「実感がどうしてもない私(わたくし)が中学一年だといふことが」と詠んだ。

 昨年春、地元の中学校に入学した。先生との出会いや初めての制服、勉強に部活動…。まだ新たな生活に慣れていなかった4月下旬、感染拡大の影響で休校に入った。約1カ月間続き、友達にも会えなかった。
 6月になってようやく授業が軌道に乗り始めた。国語を担当したのは柴山与志朗(よしろう)教諭(61)。短歌の指導に熱心で、毎年歌会始に自身や生徒の作品を応募している。前回は自身が入選を果たし、過去に教え子が入選したこともある。今回も夏休みの宿題で全校生徒が応募した。
 久田さんは題の「実」から、休校や学校行事の中止・延期などで「中学生になった実感がない」と連想。その思いを素直に表現した。佳作に選ばれ「初めは信じられなかった。すごく光栄なことだと思う」と喜びをかみしめる。
 今では学校にも慣れ、勉強や美術部の活動を頑張っているという。しかし、給食の時間は無言、グループ学習が少ない、卒業式で歌が歌えないなど、あらゆる面で影響は続いている。人生で一度きりの中学生活も残り2年。思い切り楽しむためにも「早くコロナがなくなってほしい」と願っている。

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