一気に若返ったセンターライン オリ10年連続開幕負け越しも明るい“未来予想図”

オリックス・紅林弘太郎(左)と太田椋【写真:荒川祐史】

プロ初本塁打の19歳・紅林「前の打席も、前の前の打席もふがいなかった」

■西武 5-1 オリックス(28日・メットライフ)

オリックスは28日、敵地メットライフドームで行われた西武戦に1-5で敗れ、開幕カードを1勝2敗で終えた。2012年以降、10年連続開幕カード負け越しの不名誉な記録を更新。昨季途中から監督代行として指揮を執り、今季が正式な就任1年目となる中嶋聡監督は「俺は1年やし……」とポツリ。「(他球団から)離されないこと。このままズルズル行ってはダメ」と危機感を露わにしたが、決して光明もないわけではない。

0-4で迎えた7回、先頭のプロ2年目・19歳の紅林弘太郎内野手が左翼席中段へプロ初本塁打を放ち一矢報いた。この日は相手先発・平井のスライダーに翻弄され、2点を追う2回1死二、三塁の同点機では3球三振。4回2死走者なしでの第2打席も3球三振に倒れていたが、投手が2番手のギャレットに代わったところで、真ん中高めの甘いストレートをとらえた。

「前の打席も、前の前の打席もふがいなかったが、コーチに『切り替えて行け』と言っていただいた」と胸をなでおろした紅林。中嶋監督も「チャンスで打てず、おかしくなりかけていたが、1本出たのはデカい」と目を細めた。

オリックスはこの3連戦で、紅林が遊撃を担い、3年目・20歳の太田椋内野手も二塁でフル出場。強打の24歳・頓宮裕真捕手は、開幕戦と3戦目でスタメンマスクをかぶってフル出場した。中堅と右翼でフル出場した24歳の佐野皓大外野手、2戦目に中堅で先発した24歳の中川圭太内野手を含め、センターラインが一気に若返った。

若さゆえのミスも太田や頓宮は打撃好調なスタート

紅林は3戦トータルで打率.182(11打数2安打)だが、太田は.333(12打数4安打)と好調なスタート。3戦目の7回2死満塁で捕逸を犯した頓宮も、持ち味の打撃では開幕戦で逆方向の右翼へ1号ソロを放つなど打率5割(8打数4安打)をマークしている。

一方、若さゆえの失敗もあった。開幕戦では、1回に太田のタイムリーエラーで先制点を献上したのに続き、3回にも紅林のエラーをきっかけに失点した。紅林は正面の痛烈な打球を後逸し「左前打」と記録されるシーンもあり、「エラーもあったし、“実質エラー”を含めれば3つか4つあって、投手の方に迷惑をかけた」と猛省。それでも「考え過ぎると緊張してしまうので、考えないようにしました」と臆するところは見せなかった。

太田、紅林の大型二遊間コンビに関しては、「今季はシーズンを捨てる覚悟で使い続けてほしい。それがチーム強化の近道だろう」と期待する球界関係者も多い。また、2戦目には19歳左腕の宮城大弥投手が先発して7回2失点に抑え、白星を挙げた。山本由伸、山岡泰輔、田嶋大樹の先発3本柱に加え、今季中に宮城が1本立ちできるようなら、投手王国建設も遠くなさそうだ。

昨季まで2年連続最下位&6年連続Bクラスに低迷したチームには、確かに上昇の足音は聞こえている。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

© 株式会社Creative2