【東京パラ五輪】神奈川、採火式は津久井やまゆり園など34カ所で 知事「共生社会への思いを」

事件後、津久井やまゆり園前に供えられた花束=2016年8月、相模原市緑区

 神奈川県は31日、東京パラリンピックの採火式を8月13~15日にかけて県内全33市町村の34会場で開催すると発表した。各会場でともされた34の火は最終日に横浜市内の会場に集められ、「ともに生きる社会かながわの火」としてトーチに点火する。

 各会場では新型コロナウイルスの感染防止対策を講じつつ、趣向を凝らした形で実施する。横浜市は近代化の象徴であるガス灯から、小田原市では名産の小田原ちょうちんから火をともす。相模原市では2016年7月に入所者ら45人が殺傷された知的障害者施設「津久井やまゆり園」(同市緑区)で開催。パラリンピックの理念を踏まえ、共生社会実現のメッセージを発信する。

 最終日の8月15日は横浜赤レンガ倉庫イベント広場(横浜市中区)で県による採火式と、各会場の火をまとめる「集火・出立式」を開催。計34灯を集めてトーチに点火し、開催地の東京に送る。県は会場で観客らが集まり過ぎる「密」を避けるため、事前予約制やオンライン配信を検討するという。

 採火式は全国各地で同月12日から開催されるが、県内では現時点で12日に開催を予定する自治体はない。三浦市と松田町は日程を調整している。県内は競技会場がないため、パラの聖火リレーは実施されない。

 黒岩祐治知事は「オール神奈川でパラリンピックを応援するとともに、共生社会の実現を目指し『ともに生きる社会かながわ』を掲げて取り組む県民総ぐるみの思いを発信していきたい」とコメントした。

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