まんぼう発動

　まんぼう。あの独特なフォルムの魚を連想させるためだろう、ちょっととぼけて聞こえる略称がいつの間にか定着していた。新型コロナ特措法に基づく「まん延防止等重点措置」が初めて発動されることになった▲緊急事態宣言を出さずに、同等の私権制限措置を講じることができる－それが政府にとって極めて好都合な仕組みであることは以前も指摘した。その議論は深まりを欠いたまま、できあがった「まんぼう」。ならば、せめて、誰の目にも見える確かな成果を▲感染の波の兆しを捉え、重点的・集中的な対策で、他の地域への広がりを防ぐ－と狙いが説明されている。ただ、対策の柱は今回も飲食店の早じまいや外出の自粛になるらしい▲菅義偉首相は昨日、今更のように「秘策はない」と強調した。その通りかもしれないが、今はそれが「手詰まり宣言」に聞こえてならない▲エリア限定の新たな重点措置…真っ先に思い浮かべたのは、懐かしい「モグラたたき」だ。台の上に開いた穴から代わる代わる顔を出すモグラの人形を、ハンマーで退治するアレ▲視野の広さや敏しょう性が意外と厳しく試されるゲームだった。あと、記憶が確かなら、最後はいろんな穴からモグラが一度に飛び出し、手に負えなくなってゲーム終了…が毎度のパターンだった。（智）