山開き式で後進にエール 美しくする会・七條会長「自然あっての雲仙」 大火砕流から30年を回顧 

雲仙を美しくする会の活動を振り返る七條会長=雲仙市、温泉神社

 登山シーズンを前に長崎県雲仙市小浜町の温泉神社で4日、雲仙岳の山開き式(雲仙を美しくする会主催)があり、登山客の安全を祈願した。1991年6月3日の普賢岳大火砕流から30年を迎えるのを前に、同会の七條健会長(84)は「降灰で雲仙岳の木々が枯れる被害も出たが、自然あってこその雲仙という信念で景観保護に努めてきた」と述べた。
 山開き式は同会が毎年、仁田峠展望所で開いている。今年は雨と霧のため同神社で開き、市や観光関係者ら約30人が出席した。
 七條会長は「雲仙を美しくして観光客を増やす活動に、引き続き協力をお願いしたい」とあいさつ。94年から続けてきた会長を退き、後進のサポートに当たることを明らかにした。
 七條会長は普賢岳が噴煙を上げた90年11月は、雲仙温泉街の雲仙九州ホテル社長で、雲仙旅館ホテル組合長だった。式後の取材に、当時は「仁田峠に噴煙見物の観光客が押し寄せ温泉街もにぎわったが、火砕流発生で一転して客足が止まった」と振り返った。
 降灰で雲仙岳の木々が枯れる被害が出たが、同会はミヤマキリシマの保護や植樹を継続し、サクラも咲き誇るようになった。七條会長は「(34年に)日本初の国立公園に指定された雲仙の看板に傷を付けるわけにはいかない」との思いで活動を続けてきたと言う。収束が見えない新型コロナ禍にも触れ「噴火災害による観光客減を乗り越えた気概で、何とかコロナにも立ち向かってほしい」と後進にエールを送った。

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