【大阪杯】レイパパレが6戦6勝で古馬GI制覇 動き出した新女帝の夢

絶妙のペースで逃げて上がりは最速タイ。川田=レイパパレは完全にレースを支配した

降りしきる雨の中で行われた第65回大阪杯(阪神芝内2000メートル)は、4番人気のレイパパレ(牝4・高野)が後続に4馬身差の逃げ切り勝ち。単勝1・8倍の断然人気を集めた3冠馬コントレイルは3着、昨年のJRA賞最優秀短距離馬グランアレグリアは4着に沈み、2着には伏兵のモズベッロが入る波乱の決着になった。これでデビューから6戦6勝、強敵を破ってGⅠ馬になったレイパパレの“無敵進撃”はどこまで続くのか? 関係者の談話を交えつつ展望する。

逃げ馬不在のメンバー構成。まずは何が行くかに注目が集まった。そんな中、レイパパレはスタートでバランスを崩し、1馬身ほどのビハインドを抱えたが、1角までに二の脚で先手を取り切る。1000メートル通過59秒8は道悪を考えれば、やや速め。それでもレイパパレはスイスイと軽快に逃げ、直線で進路を馬場のいい真ん中へ。

コントレイル、グランアレグリア、サリオスの3強が直後に迫ろうとするが、坂を上がってさらに差を広げる。終わってみれば4馬身差の独走V。3強の“心”をへし折るほどの強い勝ちっぷりだった。

川田は「スタートでバランスを崩しましたが、二の脚が速かったですし、そこからは抑え過ぎず、行かせ過ぎず、リズム良く走ってくれました。馬の雰囲気が良く、後ろとの距離もタイトではない状況で進路を選べるポジションにいたので、後ろを待たずに動きました。今日は苦しさも感じず、いい内容で走ってくれました」とレースを振り返った。

続けて「(道中で)力み過ぎるところが課題でしたが、返し馬の雰囲気が良く、これなら我慢できると思っていました。今回は今までで一番落ち着いていました。関係者の努力で、馬が穏やかに走ることを学んでくれていましたね」と、課題を克服させた厩舎の手腕と馬の学習能力をたたえた。

一方の高野調教師は「(レースは)川田に一任していました。馬のことを理解し、信じて乗ってくれました」と鞍上への信頼感を強調。「馬のポテンシャルを信じて、強い相手に挑む決断をしたんです。こんなに差をつけて勝つとは…すごい馬だと改めて感じました」と、驚きとともに喜びをかみしめた。

「レイパパレの牝系とは(以前所属していた)松田国英厩舎時代からの長い付き合い。その牝系でGIを取れて、評価を高めることができたこともうれしいですね」と、ゆかりのある血統での勝利に感慨ひとしおの面持ちだった。

これで無傷の6戦6勝、GⅠ馬になったレイパパレ。自身の内に抱えていた課題を克服し、国内最強クラスの馬を撃破してのビッグタイトル獲得に今後の夢が膨らむ。次走について高野調教師は「馬の様子を見てから」と明言を避けたが、川田は「このメンバーでこの勝ち方で、無敗でGIを取ったのですから、背負うものは重たくなりました。今後はこれに見合う走りができるように」と、跳ね上がったステータスを汚さないように気を引き締めた。

デビューから無敗でのJRA古馬GⅠ勝利は、ファインモーション(02年エリザベス女王杯)、クリソベリル(19年チャンピオンズC)に続く史上3頭目(1984年のグレード制導入以降)。現役最強クラスを相手にこんな記録を達成した馬なら、今後どのレースを選択したとしても恥ずかしくないレースをしてくれるはずだ。

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