4月の終わりに

 4月の終わりは昭和や平成という元号や、時代の境目をどこか思わせる。祝日の29日は昭和天皇の誕生日で、元号が平成になって「みどりの日」とされた▲これが「昭和の日」になったのは2007年で、激動を経て復興を遂げた昭和の時代を顧みる日とされている。「みどりの日」は5月4日に移された▲2年前の今時分は、平成の時代を顧みる頃だったろう。4月末での平成の終幕を前に、しみじみとその30年を振り返り、穏やかに令和を迎えようとしていた▲同時に、10日間という史上最長の大型連休を目前にして、多くの人が心弾ませる頃でもあった。しみじみ、穏やか、浮き浮き…。2年前なのに、もはや遠い記憶と言うほかない。新型ウイルスの急速な拡大で、長崎市内の飲食店などにきょうから営業時間の短縮が要請される▲5月11日までの14日間で、市内の観光、公共施設も休館になる。がっかり、痛手だ、今は我慢…。人それぞれ、2年前とは打って変わって、複雑な思いに違いない。県民の皆さんには県外との往来自粛が求められる▲令和の大型連休は2年続けて肩をすぼめて過ごすことになる。令和の「令」は「令月(よき月)」、「和」は「気淑(きよ)く風和(やわ)らぐ」。令和の由来となった万葉集の文のように、14日間を耐えた後は、よき月を、きよき風を。(徹)

 


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