上越市市制施行50周年 合併アラカルト〈2〉合併議論 議会解散求め署名 「時期尚早」と反対運動

 上越の中心都市を実現しようと、高田直江津青年会議所などが推進活動を展開した一方で、「時期尚早」と〝待った〟をかける動きもあった。賛否両論相半ばしてかんかんがくがくと議論が闘われ、賛成推進、慎重反対の市民運動、それを阻止する動きも強硬に行われた。

 当時の「高田・直江津市議会の解散を求める市民の会」は、「なぜこんなに合併を急ぐのだろうという不安の声が高まっている。両市の長い歴史と伝統を閉じるには、あまりにもお粗末」「合併問題こそ、市民に意志を直接、聞かなければならないのに、公聴会も対話集会も開かず、一方的に議会が先行してしまった」「わずか3カ月半の短いスピード審議で市民の声が反映されていない」として、市議会の解散を求める署名運動を起こした。

 当時、市民の会の事務局を務めた元上越市議の本城文夫さん(80)は「市民を置き去りでいいのか。両市議会は市民の意向を聞く必要ある」と運動に至った理由を話す。

50年前の熱い運動について振り返る元市議の本城さんと所有する当時の資料。現在は高田区地域協議会長などを務め、市政に関わっている

 高田市で署名1万6932人、有権者の3分の1以上という法定数を上回ったが、重複などもあり請求の効力が発生しなかった。直江津市は1万2870人が集まり、リコール投票となったが、わずかの差で議会解散は成立しなかった。「リコール運動が合併問題の出発点」と振り返る。

 本城さんは昭和47年、合併後最初の市議選で当選し以来11期、44年間市議を務め、歴代5人の市長と対峙(たいじ)してきた。長い間、市政を見てきた経験から「市民生活を中心に行政の継続性が大事」と指摘している。

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