長崎県立佐世保西高3年の今井大貴さん(17)が、九十九島動植物園(森きらら)のフンボルトペンギン「さくら」を主人公にした絵本「森きららのそらとぶペンギン」を制作した。開園60周年の節目を迎える同園は、記念事業の一環としてこの絵本を出版した。
絵本はA4判26ページ。ペンギンのさくらが元気のない飼育員を励まそうと空を飛ぶことに挑戦する心温まるストーリー。絵も、美術部員である今井さんがiPad(アイパッド)でアプリを使用して描き、500冊印刷した。
今井さんは、昨年7月、地方創生をテーマにした授業で、幼い頃からよく足を運んでいた同園の絵本の制作を決めた。コロナ禍で思うように作業が進まない時期もあったが、「形にしたい」との思いで10月に原案を完成させた。その後、出版したいと思い始めた今井さんは、担当飼育員らにアドバイスをもらいながら手直しを続け、11月上旬に修正版を作り上げた。
たまたまプライベートで同園を訪れていた十八親和銀行員が話を聞き、絵本を見て感動。今井さんらにクラウドファンディングの紹介をした。これを受け、同園が同銀行の補助金を活用し絵本を出版することになった。同園で担当した福田久美子さんは「60周年を祝うぴったりの内容」と笑顔で振り返った。
将来は絵に関する仕事に就きたいという今井さんは、「絵本には、形は違っても夢はかなえられるから諦めないでとの思いを込めた。僕もいろんな方の協力のおかげで、絵本出版を実現できた。諦めないでよかった」と出版の喜びを語った。
現在、クラウドファンディングサイト「エンニチFUNDING」や同園などで、1冊990円で販売中。市内の全幼稚園、保育園には無料配布する。