十八親和銀行 店舗統合始まる 固定費など削減効果年間10億円程度

十八親和銀行県庁中央支店に集約された県庁内の拠点。右奥は県庁支店の空き店舗=県庁(同行提供)

 十八親和銀行(長崎市)は10日、県内外182拠点のうち68拠点を段階的に移転集約し、114拠点に再編する店舗統合を始めた。同じ建物に複数の支店や出張所が入る「店舗内店舗方式」で、来年3月22日に完了する。移転・統合による事務効率化を通して、法人営業や地域振興部門など幅広い業務の充実に生かす方針。
 今回の統合・移転で、店名や店番、口座番号の変更はない。集約後の拠点は支店名を併記。例えば県庁内で、10日に県庁中央支店(旧親和)へ県庁支店(旧十八)を統合した拠点は、「十八親和銀行県庁支店県庁中央支店」となる。県庁支店のあったスペースは県に返却する。
 移転する側の店舗の貸金庫や夜間金庫の利用客は手続きが必要。統合後の店舗の支店長は1人となる。
 統合の対象店舗について、同行は「距離的な目安は『車で10分以内』だが、一つの拠点として考えられるかという点で判断。顧客に負担を掛けない形を選択した」と説明。最も遠距離は約4キロの有馬支店(旧十八)と北有馬出張所(同)で、12月に有馬支店に集約する。
 10日に実施されたのは県庁内の拠点のほか、▽長崎市役所支店(旧十八)へ長崎市役所中央支店(旧親和)▽佐世保市役所支店(旧親和)へ佐世保市役所中央出張所(旧十八)-の計3拠点。長崎市役所支店と長崎市役所中央支店は両支店の間にあった仕切りを撤去。2支店分のスペースで営業をスタートした。

統合された長崎市役所内の拠点。時計がかかった柱の右横にあった仕切りが撤去された=十八親和銀行長崎市役所支店長崎市役所中央支店(同行提供)

 県庁内の拠点を訪れた市内の事務職の女性(43)は「これまで利用していた方が閉まったけれど、隣だし不便さは感じない」と好意的に受け止めた。一方、長崎市役所内の拠点を利用した団体職員の50代男性は、広さが2支店分になったものの応接スペースができて窓口の数が合計6から4に減ったことに触れ、「待ち時間が長くなった気がする。名前を呼ばれても聞こえづらかった」と話した。
 同行によると、店舗統合による固定費などの削減効果は年間10億円程度。統合で生じる人員(約400人)は再配置し、顧客サービスの充実につなげる方針。移転後の空き店舗は、賃貸物件を除き、地域活性化に生かすため利活用策を検討している。

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