「感染急拡大と紙一重」 コロナ一定抑制の佐世保 対策徹底を呼び掛け

5月の感染者発表数の推移

 新型コロナウイルスの「第4波」が長崎県内で猛威を振るい、長崎市では5月の1日平均感染者発表数(15日時点)が約27.7人に上っている。一方、第2の都市の佐世保市では3.8人と一定抑えられている。ただ、月別の感染者数でみると同市でも急増の兆しがあるほか、「第3波は長崎の後に佐世保を襲った」という経緯があり、市は警戒を強めている。
 推計人口は佐世保市が約24万人、長崎市が約40万人。人口を比べると佐世保市は長崎市の約6割だが、感染発表数は2割以下に収まっている。
 佐世保市新型コロナウイルス感染症特別対策室は、「抑制の要因は詳しく分析できていない」とした上で、4月末日以降、クラスター(感染者集団)が発生していないことが全体数の抑制につながっているとみる。介護施設への個別指導や防災無線の活用などで注意を喚起し、「高齢者を中心に予防意識は高まっている」という。
 ただ、第4波では20~40代の感染者が全体の約55%(11日時点)を占めるが、若年層への特別な対策はとれていないのが現状。家庭内感染も目立ち、「感染が急拡大するかどうかは紙一重だ」と危惧する。
 昨年12月には長崎市で第3波が拡大した後に佐世保市でもクラスターが続発。1月の感染者数は最多の193人に上った。3月は4人まで減ったが、4月は一転して88人に。5月の発表数は15日までに57人となり、加速度的に増えている。
 同対策室の辻英樹室長は「今後、大型連休の影響が出る可能性がある。クラスターに発展しないよう対策を徹底してほしい」と呼び掛けている。


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