「命 救えるのはあなた」 コロナ禍でドナー呼び掛け減少… 骨髄バンク、関心持って

「命」をテーマに、骨髄バンクの現状や自らの体験を語る平塚さん=長崎鶴洋高

 白血病などで正常な血液を作れない患者と、治療に必要な造血幹細胞の提供希望者(ドナー)を登録する「骨髄バンク」の周知活動を長年続ける長崎市の平塚健一郎さん(52)が12日、同市末石町の県立長崎鶴洋高で「命」をテーマに講演した。過去に支援した白血病の高校生がドナーが見つからず亡くなったことや、新型コロナウイルス禍でドナーの新規登録が進まない現状などを紹介。「一人のいのちを救えるのはあなたかもしれない」と関心を持つよう呼び掛けた。

 北海道出身の平塚さんは20代前半で47歳の母親を病で亡くし、精神的に不安定になって自殺を図ったが一命を取り留めた。病院で医師に「死ぬのはいつでもできる。でも人の役にたってからでも遅くはないのでは」と諭され、ドナー登録をしたり200回以上の献血をしたりしてきた。
 北海道では骨髄移植推進財団の広報担当となり、20年ほど前に仕事の都合で本県に移住。2004年から7年間は県骨髄バンク推進連絡会議の代表も務めた。活動歴は25年にわたる。
 骨髄バンクは、患者とドナーを登録し、白血球の型が合う人の間の移植を仲立ちする組織。より多くのドナーが必要となる。
 3月末現在で県内のドナー登録者は7206人、移植希望者は6人。平塚さんは、活動を始めた当時より登録者は増えた一方、新型コロナの影響により献血会場でドナー登録を呼び掛ける機会が減ったと紹介。「18歳から可能なドナー登録だけでなく、(献血会場で登録を呼び掛ける)ボランティア活動も患者の力になる」と生徒に語った。
 看護師を目指す同校3年の松下沙樹さん(18)は「骨髄バンクに興味を持った。ドナーを探している人なども支えられる看護師になりたい」と話した。

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