メジャー最多タイ12本塁打の大谷 夢の球宴でも二刀流なるか

メジャー4年目を迎えた大谷翔平(エンゼルス)の快進撃が止まらない。日本時間5月17日のレッドソックス戦では防御率1点台をマークしていた抑えのマット・バーンズから9回表に起死回生の12号逆転2ラン。この一打で大谷は再び本塁打ランキングでメジャートップタイに立った。日本のみならず、今や世界中で最も注目される野球選手の1人となっている大谷。このままいけば7月にデンバーのクアーズ・フィールドで行われるオールスター・ゲームへの選出も確実だろう。夢の舞台で二刀流が観られるかもしれない。

まだ今年のオールスター・ゲームのファン投票に関する詳細は発表されていないが、前回のオールスター・ゲームが開催された2019年にはファン投票のシステムに変更が加えられた。まず1次投票で各ポジションの上位3選手(外野手は9選手)が選出され、次に1次投票を突破した選手を対象に2次投票を実施。2次投票で1位(外野手は1~3位)となった選手がオールスター・ゲームのスタメンに名を連ねた。おそらく今年も同様のシステムが採用されるだろう。

ご存知の通り、メジャーのオールスター・ゲームのファン投票では投手が対象外のため、大谷は指名打者としてファン投票にノミネートし、自身初のオールスター・ゲーム選出を目指すことになる。J・D・マルティネス(レッドソックス)、イェルミン・メルセデス(ホワイトソックス)、ヨルダン・アルバレス(アストロズ)、ネルソン・クルーズ(ツインズ)、ジャンカルロ・スタントン(ヤンキース)といったライバルはいるものの、現在の大谷に対する注目度を考えると、ファン投票で多くの票を得るのは間違いないだろう。故障や急激な失速がない限り、オールスター・ゲーム初選出を果たす可能性は高いと言える。

となれば、夢の舞台での二刀流に期待が集まるのは自然な流れ。ただし、投手の登板についてはオールスター・ゲーム直前の登板状況なども影響するため、メンバーに選出されたからといって必ず登板できるわけではない。指名打者として選出されるであろう大谷がマウンドに立つチャンスがあるかどうかも微妙なところだ。しかし、ア・リーグの監督を務めるケビン・キャッシュ(=昨季リーグ王者・レイズの監督)は大谷のことを「唯一無二の存在。投打に素晴らしい才能を持っている」と称賛しており、大谷の二刀流起用が検討される可能性は十分にある。

オールスター・ゲームでは指名打者制が採用されるため、大谷がファン投票で選出されて指名打者としてスタメン出場した場合、大谷がマウンドに立つためには試合の途中で指名打者制を解除しなければならない。しかし、オールスター・ゲームは毎回のように投手が交代するため、指名打者制を解除して投手に打順が回ってきた際には控えの野手を代打に送ればいいだけ。指名打者としてスタメン出場した大谷が試合の途中からマウンドに上がることは決して不可能ではない。むしろ、そのシーンを観たいファンも多いはずだ。

また、このまま本塁打ランキングの上位をキープすれば、オールスター・ゲームの前日に行われるホームラン・ダービーにも声がかかるに違いない。つまり、日本人選手がメジャーのホームラン・ダービーで優勝するという歴史的瞬間を観られる可能性もあるのだ。ファン投票の詳細すら発表されていない現時点ではただの妄想に過ぎないが、今季の大谷はこんな夢を見させてくれるほどの活躍を続けている。

今年7月、大谷翔平が名実ともに球界を代表するスーパースターとなる瞬間が「打者天国」のクアーズ・フィールドで観られるかもしれない。いや、その瞬間をぜひとも見せてほしい。

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