佐藤輝だけじゃない!阪神快進撃を支えるドラ6・中野拓夢は「首位打者になれる器」

他球団のスカウトも注目する阪神・中野拓夢

首位独走の阪神はルーキーが快進撃を支えている。連日注目を浴びるドラフト1位の怪物新人・佐藤輝明内野手(22)や社会人出身左腕で既に3勝の伊藤将司投手(25)に加え、日に日に存在感を増しているのが24歳の遊撃手・中野拓夢。ドラフト6位入団ながら他球団のスカウトから「首位打者も狙える」との声も上がるほどで、まさに掘り出し物だ。

開幕直後は主に終盤の守備、代走要員でチームの脇役的存在だったが、限られた打席数の中で非凡な打撃センスを発揮。「8番・遊撃」で13試合連続スタメン出場(17日現在)し、昨季まで正遊撃手だった木浪からレギュラーを奪取した。

本職は二遊間ということもあり、守備に目がいきがちだが、矢野燿大監督(52)も「当てにいくようなスイングをしないし、振り切れるのが拓夢の良さ」と〝打てる内野手〟として、打率3割台をマーク。順調に行けば交流戦中にも規定打席にも到達する勢いだ。

そんな指揮官の見立て通り、社会人・三菱自動車岡崎時代に東海地区担当として中野を視察してきた他球団のスカウトは「将来は首位打者も狙える存在」と評価する。

「将来的には同じ山形出身のソフトバンク・長谷川勇也のような巧打者になれる可能性がある。内角の直球を強く振り切れるだけなく、バットコントロールも人にはマネできないような非凡なものを持っている。なので、どんなコース、球種にもバットを当てることのできる対応力も備わっている選手」。2013年にリーグ最多安打で首位打者のタイトルも獲得した同郷・山形出身の鷹の打撃職人のようになる可能性があるという。

一方、守備は「遊撃手としては守備範囲は広いけど、肩がそこまで強くない。いずれは二塁手で活躍の幅広げていけば、チームの中でも一時代を築くような内野手になれると思う。守りが重要視されるポジションで、社会人を出て即戦力でもある彼の場合は打つことでそれを切り開いていければ、というところ」(前出スカウト)。現在の守備力を維持しつつ「打」で存在感をさらに増やしていくことが熾烈なプロの競争社会を勝ち抜く鍵を握るという。

2学年下の同期・佐藤輝に負けじと1年目の目標を「新人王」と公言する1メートル71の小兵・中野。鳥谷敬(現ロッテ)以来となる「打」でも魅せる内野手の誕生となるか、注目だ。

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