建設アスベスト神奈川訴訟 「一人親方」への国の責任も認める 最高裁 

判決の内容を「大きな前進」と強調する弁護団=17日午後、東京都千代田区の衆議院第一議員会館

 建設現場でアスベスト(石綿)の含まれた建材を扱って粉じんを吸い、肺がんや中皮腫などの病気になった元労働者と遺族が、国と建材メーカーに損害賠償を求めた4件の集団訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は17日、初の統一判断を示し、国の対策は違法だったとして賠償責任を認めた。メーカーも一定の範囲で責任を負うとした。

 神奈川訴訟(第1陣、原告87人)については、国とメーカー6社の責任を認めた上、東京高裁判決では認められなかったいわゆる「一人親方」と呼ばれる個人事業主に対する国の責任についても認めた。

 国とメーカーの上告はいずれも棄却した。ただ、一部の原告の損害賠償額については、東京高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。

 判決では、石綿規制が強化された1975年10月以降の国の対応について、「石綿粉じんを発散させる作業などの際に防じんマスクの着用を指導監督するとともに、屋内建設現場では呼吸用保護具を使用させることを義務付けるべきだった」と指摘。規制権限を行使しなかった点を「労働安全衛生法の趣旨や目的、その権限の性質などに照らして著しく合理性を欠くものであって、違法」と断じた。

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