長崎県内景気「足踏み感」 4カ月ぶり判断引き下げ 日銀長崎支店

 日銀長崎支店は21日、4~5月の長崎県内金融経済概況を発表した。景気の総括判断は「緩やかに持ち直しているが、(新型コロナウイルスの)感染再拡大の影響で足踏み感がみられている」とし、4カ月ぶりに引き下げた。4月下旬以降の「第4波」で、個人消費と観光が落ち込んだのが要因。
 下田尚人支店長は会見で、新型コロナのワクチン接種が進んでいる国の経済が回復傾向にある点を指摘。「経済が感染拡大の影響を受けやすい状況はしばらく続く。ワクチン接種の進捗(しんちょく)が県内経済の回復のかぎになる。県内でも接種がある程度の水準まで進むと、サービス需要が全国平均より早く回復すると考える」との見方を示した。
 項目別では、個人消費と観光も4カ月ぶりに引き下げ。個人消費は「サービス消費を中心に下押し圧力が強まっている」と指摘。一方、“巣ごもり消費”による家電量販店やホームセンターの売り上げは堅調で、4月の乗用車の新車登録台数は前年を上回った。
 観光は3月の主要ホテル・旅館宿泊者数や主要観光施設の入場者数が前年を上回ったものの、4月下旬から大型連休にかけて落ち込んだ状態。設備投資は「引き続き堅調」、住宅投資は「弱い動き」、公共投資は「高水準で推移」とした。
 生産のうち、造船は世界経済の回復傾向を受け、船の価格が上昇し、受注環境が改善しつつある。半導体関連も、世界的な需要の拡大で回復が続く。雇用・所得は「弱い動き」。

© 株式会社長崎新聞社