【夏場所】大関初Vの照ノ富士 番付の頂点へ気合十分「力が出せるうちにどこまで通じるか」

八角理事長から賜杯を受け取る照ノ富士(左)

大相撲夏場所千秋楽(23日、東京・両国国技館)、大関照ノ富士(29=伊勢ヶ浜)が2場所連続4度目の優勝を飾った。昭和以降、初の大関復帰場所Vで、名古屋場所(7月4日初日、愛知県体育館)では綱取り挑戦となる。

逆転は許さなかった。照ノ富士は貴景勝に突き落とされ、互いに12勝3敗で並び、賜杯の行方は決定戦に突入。だが、大一番では突っ込む相手をかち上げていったん離れると、最後は右に開いてはたき込み、連覇を達成した。

優勝後のインタビューでは「いつも通りやってきたことを信じて土俵に上がりました。(決定戦は)悪い部分もありましたけど、最後に白星につながってよかったかなと思います」と安堵の表情。また、本人が「決定戦になるといつも負けていた」と話すように、4度目でようやく〝ジンクス〟を打破した。

21場所ぶりに大関に返り咲いた今場所は、無傷の10連勝を飾るなどV争いのトップを快走。11日目(妙義龍戦)にまげをつかんだとして反則で初黒星を喫し、王手をかけて臨んだ14日目(遠藤戦)には軍配差し違えで2敗となっても、引きずることはなかった。

不本意な結果にも腐らず土俵に立つ照ノ富士には、師匠の伊勢ヶ浜親方(60=元横綱旭富士)の教えがある。「そういう相撲を取った自分が悪いと思って成長していきなさい」。当然、13勝2敗という成績に満足しているわけではなく、大関は「負けている以上、勉強が足りないということ。もっと頑張らないといけないなと感じた」と、〝成長の種〟として受け止めている。

一方、大関初優勝を果たし、名古屋場所は初めて綱取りに挑む。審判部長を務める伊勢ヶ浜親方は「1年で3回の優勝しているし、2場所連続で優勝。(優勝に)準じる成績を出せたらそういう話も出てくる」と言いきった。

ヒザに不安を抱える照ノ富士は「いつ何が起こるか分からない。力が出ているうちにどこまで通じるか試して、引退するときに『すべてを出しきりました』とできるように」と気合十分。番付の頂点に名を刻むつもりだ。

© 株式会社東京スポーツ新聞社