「桑原がしっかり準備してくれた」 DeNA三浦監督が懲罰交代から一夜明けて称えた真意

DeNA・三浦大輔監督【写真:荒川祐史】

セ最下位低迷も交流戦開幕カードに勝ち越し

■DeNA 11ー8 オリックス(27日・横浜)

DeNAは27日、横浜スタジアムで行われたオリックス戦に11-8で勝利。今季の交流戦開幕カードを2勝1敗で勝ち越した。前日の2回に3点タイムリーエラーを犯し早々とベンチに下げられた桑原将志外野手は、この日スタメンを外れ、代わりに「1番・中堅」で14試合ぶりに先発した神里和毅外野手が4号ソロを含む4打数2安打1犠飛3打点と活躍した。

先発ロメロが初回、いきなり吉田正に先制11号2ランを浴びたが、その裏に先頭の神里が右翼席へ4号ソロを放ち反撃開始。なおも2死一、三塁とし、ソトの左越え8号3ランで一気に逆転した。神里は3回1死満塁での第3打席でも中犠飛。5回1死満塁での第4打席でも左前適時打を放った。試合後は2本塁打を含む3安打1犠飛6打点のソトとともに、お立ち台に上がりファンの声援を浴びた。

DeNAの「1番・中堅」のスポットは、5月に入ってから月間打率.311(74打数23安打)と調子を上げた桑原が占めるようになっていた。ベンチを温めることが増えている神里は「チャンスが少ないのは分かっている。悔しい気持ちもあるが、出番はいつ来るか分からない。その時のためにコツコツ準備していれば、結果もついてくると思っています」と述懐した。

三浦大輔監督は試合後、「全員が試合に出たいという気持ちを持っている。神里に限らず、普段(スタメンで)出られない選手もしっかりアピールしてくれている。こういう相乗効果がどんどん生まれてくれれば」と目を細めたが、指揮官の流儀が良く表れていたのは、むしろスタメンから外した桑原の扱いの方だ。

桑原は前日の同カードの2回、2死満塁でモヤの平凡な中飛を落球。味方の先発・大貫が初回から乱調で、いきなり劣勢に立たされていたとはいえ、集中力を欠いていたと言われても仕方がないプレーだった。三浦監督は、桑原が3回の打席で凡退すると、4回の守備からベンチへ下げた。“懲罰交代”だった。

平凡フライ落球で懲罰交代も…三浦監督「途中から行くぞ」

それでも三浦監督は、一夜明けたこの日の試合前、桑原にも「途中から行くぞ」と声をかけたと言う。桑原自身、気分転換のためか、あえて雨が降るグラウンドに出て関根大気外野手とともに外野ノックを受け、笑顔を見せる姿があった。

三浦監督は神里をスタメンで起用した理由を「状態が上がってきていたし、相手の先発が右投手(張奕)ということもある(神里は左打ち、桑原は右打ち)」と説明し、前日のエラーとの関連を否定。「昨日は昨日、今日は今日です」と語気を強めた。

その桑原の出番は8回に巡ってきた。先頭のオースティンが二塁打を放つと、その代走として出場。続く宮崎の遊ゴロの間に三塁へ進み、ソトの右犠飛でダメ押しのホームを踏んだ。9回には中堅守備にも就いた。三浦監督は試合後、「桑原が好判断で三塁に行ってくれたからこそ、犠牲フライで追加点を取れた。しっかり準備してくれていた」と褒めた。

「ハマの番長」の異名を取る三浦監督だが、神経は実に細やかで、コミュニケーションを重んじる。無気力に映るプレーにはきっちり苦言を呈しながらも、しつこく咎めることはなく、翌日には持ち越さない。選手層が決して厚くない事情もあるのだろうが、1度の失敗でチャンスを剥奪することはない。それだけに、選手にはなおさら同じ失態を2度と繰り返さない自覚が求められると言えそうだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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