川崎・登戸児童殺傷2年 住民ら献花「姿を思い出したくて」

事件現場で手を合わせる犠牲になった男性の同僚の男性=28日午前9時ごろ、川崎市多摩区

 川崎市多摩区の登戸駅近くの路上で、スクールバスを待っていた私立カリタス小学校(同区)の児童ら20人が殺傷された事件は28日、発生から2年を迎えた。現場では犠牲になった2人を悼む人たちが花を手向け、静かに手を合わせた。「悲惨な事件が二度と繰り返されない社会に」─。関係者は癒えることのない心の傷を負いながら、安全なまちの実現を願った。

 事件が起きた午前7時40分ごろ、近くの住民らが相次いで献花に訪れた。カリタス小OBで同窓会役員の男性(44)は声を震わせ、「2年が経過したが、まだ気持ちは複雑」。犠牲になった外務省職員の男性=当時(39)=と同僚だった男性(41)は、楽しそうに働いている姿が印象に残っているといい「姿を思い出したくて現場に来た」と冥福を祈った。

 小学校を運営する学校法人カリタス学園は講堂でミサを営み、亡くなった6年の女子児童=同(11)=の父親ら約200人が参列。在校生の多くも自宅で配信画像を視聴した。終了後、倭文(しとり)覚(さとる)教頭(64)は「2年前と変わらず悲しい思い。心のケアは今後も続く課題だ」と話した。同校によると今も学校に来られない児童がおり、カウンセラーを増員するなど心のケアに努めているという。

 事件は2019年5月28日、同区登戸新町で発生。両手に包丁を持った男=当時(51)=が児童と保護者を次々に襲い、2人を殺害、18人に重軽傷を負わせた。男は直後に自殺。県警は容疑者死亡のまま殺人容疑などで書類送検し、横浜地検は同11月に不起訴処分とした。

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