【追う!マイ・カナガワ】点字ブロックに並ばないで(上)平塚駅のバスターミナル 2、3番乗り場に頻発?

【1】【2】点字ブロックの上に整列する乗客の列=平塚市

 「JR平塚駅のバス乗り場で、点字ブロックの上に人が並んでいる状況を頻繁に見ます。目の不自由な方がぶつかっているのも何度も見ています」。神奈川県平塚市に住む音楽教室講師の女性(65)から「追う! マイ・カナガワ」取材班に指摘が寄せられた。

 平日夕、帰宅時間帯に同駅北口のバスロータリーを訪ねた。「東海大学行」などが出発する2番乗り場と3番乗り場で、バスを待つ人が点字ブロックの上に並んでいる現象が起きていた(写真【1】【2】)。

 記者が観察していると、バスの発車後、数分間で20人ほどに列が延び、ほとんどの人が点字ブロックを踏んでいる。

 2、3番の乗り場には「お並びのお客様は、黄色い点字ブロックの上に並ばないようご協力お願い致します」と、はり紙で周知もしているのだが、どの人も視覚障害者の通路を妨害している認識はないのだろうか。

 整列客に「点字ブロックの上に並んでいることをどう思いますか?」と聞いてみた。唐突な質問にけげんな顔をする人もいたが、「指摘されて初めて気付いた」(20代男性)、「気付いたら自分は並ばないようにしている」(40代女性)という意見もあった。

 別の日に再訪してみると、今度は点字ブロックの脇に列ができていた。どうやら先頭の人がブロックの上に並び始めるかどうかで、どこに列ができるかが変わるようだ。

◆七夕でテープ?

 平塚駅北口バスロータリーには乗り場が12あり、平塚市内に本社があるバス業界最大手の神奈川中央交通がすべて運行している。同社に話を聞くと、点字ブロックへの対応をいろいろと模索していることが分かった。

 「平塚駅のバス停は大勢の方が利用されるので、列が乱れないように誘導線として目印にテープを貼っています」

 4~8番の計五つの乗り場には整列乗車を求める黄色いテープが地面に貼られていた。経緯と時期は不明というが、「湘南ひらつか七夕まつりなどのイベントで整列乗車を求めたためかもしれない」と同社の担当者は説明する。点字ブロックを避ける理由ではなさそうだ。

 ただ、7番乗り場から出るバスは県立平塚盲学校も経由するため、「テープが薄れたりした場合は学校からの要望で、引き直している」という。同社は7番乗り場ではスピーカーでも整列乗車を呼び掛けている。駅構内ではJRと盲学校が協力し、点字ブロックについて同校の生徒たちが注意を促す放送も流している。

 そのほかの乗り場には、なぜか整列用テープは貼られていない。問題の2、3番乗り場では、はり紙で周知しているものの、点字ブロックの上に人が並ぶ現象が頻発している。「お客さまからの声があれば、2、3番も線を引くことを検討したい」と担当者。1や9~12番ではバスの本数が少なく問題は生じていないようだ。

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