軍艦島の暮らしを教材漫画に “主題歌”も 大阪の小学校教諭が制作

教材漫画「軍艦島で会いましょう」の表紙

 大阪市立鶴見南小教諭の樗木(おおてき)厚さん(51)が5月、かつて炭鉱の島として栄えた長崎市の端島(軍艦島)の歴史や暮らしなどを紹介する教材漫画「軍艦島で会いましょう」と、その“主題歌”3曲を制作した。「趣味が高じて作ったものだが小学校の国語や社会、総合的な学習の教材にお薦め。多くの人に見て、聴いてほしい」と動画投稿サイト「ユーチューブ」のチャンネル「粘菌ロック」で公開している。
 子どもの頃から漫画家になるのが夢だった樗木さん。大学では平面デザインを学んだ。大手出版社の漫画雑誌に出品し、入賞もしたがデビューはかなわず教職に就いた。理解が深まるようにと漫画を描いて授業に活用。これをきっかけに「マンガでわかる小学理科-3.4・5.6年生編」(浪速社)など教材漫画4冊を発刊している。

樗木厚さん

 軍艦島は、小学生の頃に住んでいた神戸市内の集合住宅と雰囲気が似ていて、興味を持った。高度経済成長期の活気あふれる社会や、団地全体が家族のような古き良き日本の暮らしを児童に伝えようと国語の授業で軍艦島を紹介。その授業のポイントをリポート「軍艦島教育実践」(A4判、7ページ)にまとめた。
 漫画と歌はその第2弾と3弾。漫画は計6ページ。人口密度が世界一で、巨大な建物の1~4階を小学校、5、7階を中学校に使うなど当時の生活を紹介している。3曲のうちの一つ「サヨナラ ハシマ」は閉山時に島民が作った人文字がルーツで、「哀愁とともに、世界文化遺産になるなんて誰も予想できなかった数奇な運命」をイメージした。自らギターで弾き語り、収録したデモCDとマンガ、リポートを長崎市役所、長崎大、元島民のツアーガイドに寄贈した。
 樗木さんは「叔父は長崎市内にある寺の住職。身近に感じている長崎県内の小学校と大阪をオンラインでつなぎ、自ら授業をする機会があればうれしい」と話している。

「軍艦島で会いましょう」(3ページ目)

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