今を「分かれ道」に

 前年よりも売り上げがぐんと伸びたキッチン家電は? 2020年とその前年を比べたお買い物サイトのまとめによれば、伸び幅が大きかったのはワッフルやホットサンドイッチを作る器具で、前年の3倍ほどになったという▲次に伸び率が高かったのは炭酸水メーカーで、以下、たこ焼き器などが続く。家にいる時間が増え、「巣ごもり需要」が高まって、エアコン、洗濯機、空気清浄機といった家電も好調らしい▲コロナ禍で人々の行動が変わるにつれ、伸びる業界、その逆の業界に割れた。不景気でどの業界も振るわない時代はあったが、この1年余りほど、業界によって明暗が分かれたことはなかったろう▲日銀長崎支店によれば、県内の4~5月の景気は、全体的に「足踏み感」がみられるという。この「第4波」で個人消費と観光が落ち込み、判断を4カ月ぶりに引き下げた▲長崎市の飲食店、遊興施設などにきょうまで要請していた営業時間短縮は、さらに1週間の延長になる。経営のぎりぎりの淵にいる人たちは、我慢の上にまた我慢を重ねる▲急ぎではない外出の自粛を求められる市民も、ここが辛抱どころに違いない。医療現場を守る。ワクチンを広める。「終息」が見え、やがて暗い業界にも光が差す…。暗転から好転へ、今をその分かれ道にしたい。(徹)

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