溶岩ドーム崩壊想定 2500人が避難手順確認 島原、南島原市「初の合同訓練」 雲仙・普賢岳大火砕流から30年

関係機関がテレビ会議での情報共有などに取り組んだ合同避難訓練=島原市役所災害対策室

 43人の犠牲者を出した1991年6月3日の雲仙・普賢岳大火砕流惨事から30年になるのを前に、島原、南島原両市は30日、震度6強の地震で溶岩ドームが崩壊する恐れがあるとの想定で合同防災避難訓練を実施した。
 両市合同の訓練は初めて。30年の節目に島原市側が災害時の協力態勢確立などを図ろうと呼び掛けた。国土交通省、消防、自衛隊、警察など29団体と住民ら約2500人が参加。当時、甚大な被害を受けた島原市安中地区では小中学校などを登校日にし、子どもたちも訓練に加わった。
 午前8時半、島原半島を震源とするマグニチュード(M)7規模の地震が発生。溶岩ドームに大きな地形変化がみられ、崩壊の危険が迫っていると想定した。島原、南島原両市はそれぞれ災害対策本部を設置し、テレビ会議で互いの被害状況などを情報共有する手順を確認した。
 住民らは最寄りの一次避難所に集合した後、全員でまとまって指定避難所に移動。段ボール製ベッドの組み立てなど避難所開設の訓練や防災講話もあった。
 古川隆三郎島原市長は「対応の不備や課題も見えた。溶岩ドームと共生する町として、訓練を重ね改善していきたい」と語り、松本政博南島原市長は「今後も情報交換を図りたい」と話した。

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