横浜開港記念日 2年続けて祝120年!?

横浜市民ホールで行われた開港120年記念式典=1978年6月2日、同市中区

 きょう6月2日は横浜の開港記念日─。横浜市立学校が開港記念日に休みとなる歴史をたどった4月18日付の「追う! マイ・カナガワ」の記事を執筆中、取材班は横浜開港120年の節目が、1978、79年に2度祝われていたことに気付いた。もはやその事実も忘れ去られているかもしれないが、一体なぜ…。開港記念日の謎を再び追った。

 神奈川新聞の過去記事をめくりながら、気になる2つの記事を発見した。78年6月3日付に「開かれた横浜へ 開港120年祝い式典」、翌79年6月3日付にも「横浜開港120周年祝う 市制施行90周年も」とある。記者は目を疑った。

 2本の記事を読んでも、「約1400人が出席」(78年)「磯子区のプリンスホテルで園遊会」(79年)などと祝賀ムードが漂うばかりで、理由の記載は無い。ならば119回はどうなのか。77年の記事に「開港119年祝って」とある。

 過去記事を地道に調べると、「ン!? また120周年」(79年5月9日付)の記事が見つかった。当時の記者が、横浜市の市民課に取材していた。

◆開港100年で満と数え年に

 「開港記念日はもともとは『開港以来、満〇〇歳』で計算していたが、58(昭和33)年、平和球場に皇太子殿下を迎え盛大に行われた開港100年祭に『数え年の100年』を採用して以来、ずっと習慣が残ってしまった。ですから昨年の記念日は、その線に沿って120年をうたったのですが、実際は119周年だったわけ。そこで今年の記念日から数え方を元に戻すことに」

 いわば「数え」から「満」への軌道修正が120年を機に行われたのだ。前から市役所で話は出ていたが、「市制90周年」と歩調を合わせたとも、記事にはある。式典の看板をよく見ると78年は「開港120年」、79年は「開港120周年」だ。いずれにしても、港と市の節目を合わせたことで、10年後の89年には市制100周年と開港130周年を祝った横浜博覧会も盛大に開かれた。

◆それ以前にも混在

 しかし、取材班がさらに過去記事を調べると、100年以前も「数え」と「満」は入り乱れていた。例えば80周年は「満」の39年だが、90年は「数え」の48年に祝っている。その変遷は別表の通りだ。

 元々は「数え」で年齢を数えていた日本では、明治になって「満」の数え方が西洋から持ち込まれた。そのあたりの事情について同市に問い合わせたが、「横浜市史稿 風俗編」に1860年6月2日に開港1年祭が開かれた記述はあるが、そのほかは「神奈川新聞以上に詳しい資料はない」と言われてしまった。

 前述の記事は「ミナトの公式の歳勘定は今後も『満』でいきますので、よろしく」と市のコメントで締めくくられていた。今年は「満」で開港162周年─。

◆取材班から

 開港120年を2度祝った当時の記憶のある方や、数えと満で祝っていた時期の事情を知っている方、ぜひ思い出をお寄せください。

© 株式会社神奈川新聞社