60歳になったら「卒婚」したい!?夫婦別々の人生を見据えたお金の貯め方は?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、47歳、派遣社員の女性。夫婦で母国が違うため、60歳をめどに「卒婚」を希望している相談者。「卒婚」を見据えたお金の貯め方とは? FPの飯田道子氏がお答えします。

夫婦で母国が違うため、60歳で卒婚したいと思います。お互い独りになっても生活していけますか? 子ども2人は、少なくとも高校までは公立を第1志望とします。

【相談者プロフィール】

・女性、47歳、派遣社員、既婚

・同居家族について:夫・49歳・会社員、子ども2人(12歳、15歳)

・住居の形態:持ち家(戸建て/愛知県)

・毎月の世帯の手取り金額:58万円(夫38万円+私20万円)

・年間の世帯の手取りボーナス額:70万円

・毎月の世帯の支出の目安:32万7,000円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:0円

・食費:5万8,000円

・水道光熱費:1万2,000円

・教育費:5万4,000円

・保険料:4万1,000円(学資、個人年金、自動車)

・通信費:1万2,000円

・車両費:4万5,000円

・お小遣い:2万5,000円

・その他:8万円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:15万円

・ボーナスからの年間貯蓄額:70万円

・現在の貯金総額:500万円+300万円学資保険+1,000万円個人年金

・現在の投資総額:2,850万円

・現在の負債総額:0


飯田:今回は、60歳になったら卒婚を考えている、47歳の女性からのご相談です。卒婚を考えている理由としては、夫婦で母国が違うということだそう。今、相談者様が気になっているのは、お互い独りになっても生活していけるのか? ということでした。また、2人のお子様の進学は高校までは公立が第一志望とのことです。では、相談者様の将来はどうなるのか、考えてみましょう。

学費は心配しないでも大丈夫?

まず、大きな支出と思われる、学費から考えてみましょう。2人のお子様は、高校までは公立を第一志望にされているようですが、公立高校に加えて、私立高校でも無償化がスタートしました。

対象となる世帯は、公立・私立ともに年収910万円未満の世帯で、公立では授業料の一部として11.88万円が支援されます。公立の学校の場合、費用的にも支援額で賄えますので、実質無償化となります。

一方の私立高校でも、11.88万円が授業料の一部として支援されています。ただ、所得によって支援額に違いがあります。私立の場合、実質的に無償化になるのは、年収590万円未満の世帯です。それでも支援があるのとないのでは大きな違いですよね。

利用するためには申請が必要になり、マイナンバーなどの必要な書類が学校に提出すればOK。2年目以降はマイナンバーを基に都道府県が確認作業を行うため、再申請は不要です。大学についても支援制度があります。利用できる大学も増えてきていますので、確認してください。

卒婚への意志は本当に固い? じっくりと二人ですり合わせを

相談者様が60歳になったら卒婚したいと考えていらっしゃるとのこと。国籍が違うことが理由ということですが、老後の生活について、夫婦で話し合いはされているのでしょうか? ご主人も納得されているのでしょうか?

卒婚をする理由は人それぞれです。夫婦それぞれに叶えたい夢があったり、ライフスタイルの違いから卒婚を希望する人はいます。ただ、まだ相談者様は40代です。決断が早すぎるように思います。

それでも、夫婦ともに卒婚を望むのであれば、それぞれどのように生活をするのか、話し合っておくことが大切です。

あわせて、預貯金についても名義人のみが使うのか、あらかじめ分割しておくのかのルール決めも必要になってきます。そのルールに従って生活をすることが卒婚です。

今まで通りの生活か? 卒婚か? どちらでもOKなように準備しておく

卒婚には、同居卒婚と別居卒婚があります。

同居をするのなら、家計費の負担方法をどのようにするのかを話し合っておかなければなりません。別居卒婚なら、どちらが家を出るのかを考える必要があります。もちろん、支出が抑えられるのは、同居卒婚です。

今すべきことは、今まで通りの生活でも卒婚でも大丈夫なように準備しておくことでしょう。

卒婚を見据えたお金の貯め方とは

お金の内訳を確認しましたが、特に無駄遣いはありません。ただし、卒婚をするのなら、いかに自分名義の財産を持つのかを考えておきたいところです。また、頂いたデータでは預貯金がどのように按分されるのかが分からないため、夫婦それぞれの生活が成り立つのかは判断できません。

そこで確認しておきたいのが公的年金です。定期的に送られてくる「ねんきん定期便」で、受給額はいくらかを確認しておきましょう。生命保険文化センターの「老後の生活費はどれくらい?」という調査では、夫婦2人世帯の消費支出は約24万円です。ひとりで暮らす場合、8割で済むと考えて試算すると、毎月19.2万円必要になる計算です。1人の受給できる年金額では、預貯金から補てんすることは必須でしょう。

現状、どのように名義を分けて貯蓄をされているのか分かりませんが、本人、夫、子どもを含めた生活用の3つの財布に分けて、貯めていくと良いでしょう。本来、このような形は貯まりにくいのですが、卒婚を踏まえた場合には、名義を明確に分けておくと後で揉めなくてすみます。

相談者様は派遣で働いているとのことですが、キャリアップして収入を増やすことも考えてください。

万が一のことについても話し合いを

お金のことと共に、どちらか一方が病気になったときにはどうするのかも話し合っておく必要があります。保険料の4万1,000円に医療保険が含まれていないようですので、夫婦それぞれに医療保険へ加入することをお勧めします。

卒婚したいという人の中には、弁護士を通してきっちり明文かする人もいます。万一のときにはどのように対処するのかを話し合っておくと良いですね。

60歳まで13年もあります。十分に話し合い、お互いの幸せについて考えて欲しいと思います。焦らず、じっくりと!

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