諫干 請求異議訴訟差し戻し審 開門派「和解協議始まった」

 長崎県の国営諫早湾干拓事業の開門確定判決を巡る請求異議訴訟差し戻し審の進行協議が2日、福岡高裁(岩木宰裁判長)であった。国は4月の前回進行協議で同高裁が示した「和解協議に関する考え方」について裁判所側にただした。開門派弁護団は今後の和解協議の進め方への提案など事前に提出した上申書に基づき、意見を述べた。
 非公開の進行協議後、開門派弁護団が明らかにした。国からの質問は同高裁との個別協議の中でなされ、開門派にその内容は明らかにされなかった。馬奈木昭雄弁護団長は「(同高裁が提示した和解協議に)国が応じるつもりがなければ質問しても仕方ない。国は正面切って(同高裁の提案を)拒否できなかったということ。(同高裁が示した『考え方』に基づく)和解協議が始まったと思っている」との認識を示した。その上で、和解協議の進め方についてさらに弁護団で検討を重ね、次回進行協議期日(7月14日)までに上申書として提出するとした。
 一方、農水省農地資源課は取材に「非公開の進行協議の趣旨に鑑み、具体的な対応は明らかにできない」と、質問内容について言及を避けた。その上で「『開門せず、有明海再生に向けた基金で解決を図る』とした(2017年の)大臣談話に沿うような出口を探っていく。一般論として、その考えに沿った和解協議なら乗ることができる」とし、“非開門”の姿勢を重ねて示した。
 同事業を巡る問題が複雑・深刻化した事態を踏まえ、同高裁は4月の進行協議で「統一的、総合的かつ抜本的に解決するためには、話し合いによる解決のほかに方法はない」として、和解協議の場を設けることを国、開門派双方に文書で提示。事業主体の国には和解協議への主体的、積極的な関与を強く促した。差し戻し前の請求異議訴訟で過去、和解協議が打ち切られるなどした経緯がある中、「開門」「非開門」の前提条件は示していない。

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