「チームを鼓舞した」 DeNA桑原“名誉挽回”の2安打&美技に指揮官も絶賛

DeNA・桑原将志【写真:荒川祐史】

三浦監督「準備をしてくれているからこそ試合で結果が出る」

■DeNA 1ー1 ソフトバンク(2日・横浜)

誰にでも失敗やボーンヘッドはある。その後、どう挽回するかで人間の価値は決まるのかもしれない。DeNA・桑原将志外野手は2日、本拠地・横浜スタジアムで行われたソフトバンク戦に「1番・中堅」で出場し、鬼気迫る“挽回劇”を見せた。

集中力が半端ない。両軍無得点で迎えた3回、2死三塁からソフトバンク・栗原が左中間へ放った鋭いライナーを、桑原が決死のダイビングキャッチ。相手に先制点を許さなかった。5回にも甲斐の中前の飛球に対し、猛然と前進しスライディングキャッチ。先発の21歳右腕・中川の好投を支えた。

打っても、初回にいきなり一塁へのヘッドスライディングで三塁内野安打をもぎ取った。3回1死走者なしでは、相手先発・東浜のシンカーを捉え、逆方向の右中間を破る二塁打。4番オースティン外野手の中前打で先制のホームを踏んだ。

4打数2安打、そして2つの美技。桑原の闘志は他の野手にも“伝染”し、三塁手の宮崎は8回、柳田が放ったファウルフライを、グラウンドに張り出したエキサイティング・シートに倒れ込みながら好捕した。試合は1-1の引き分けに終わったが、4年連続日本一のソフトバンクに一歩も引かない戦いぶりを見せた。

5月12日の巨人戦ではボーンヘッド、26日のオリックス戦ではエラーを犯し出場機会が激減

桑原には、この試合だけは是非とも結果を出したい事情があった。5月12日の巨人戦では、5-5の9回2死走者なしで内野フライを打ち上げた瞬間、落胆して全力疾走せず、相手が思わぬ落球をしたにも関わらず、一塁ストップのボーンヘッドとなった。

さらに同26日のオリックス戦の2回の守備で、2死満塁からモヤが打ち上げた中飛を落球し、3点タイムリーエラーに。それでも三浦監督は、3回の攻撃では打席に立たせチャンスを与えたが、中飛に終わると4回の守備からベンチに下げた。これを機に出場機会が激減。それまで13試合連続でスタメン出場していた桑原が、翌日から5試合中4試合で先発から外れ神里、関根がスタメンで起用された。

ところが、意外な形で桑原に再びチャンスが訪れた。ライバルの神里が前日(1日)のソフトバンク戦の守備中に左足首骨挫傷を負い、この日登録抹消された。

「よくやってくれた。ベンチにいる時にも準備をしてくれているからこそ、試合でああいう結果が出るのだと思う。中川を助け、チームを鼓舞した」。試合後に三浦監督は桑原をそう称えた。

指揮官はもともと、桑原の積極果敢なプレーを買っている。全143試合に「1番・中堅」でスタメン出場した2017年をピークに、年々出場試合数を減らし、昨季は34試合にとどまった桑原だが、今季はチーム55試合中50試合に出場。打率.274をマークしている。交流戦に入ってから4勝2敗2分で12球団中2位(2日現在)と好調に転じたチームを、これから改めて牽引していくはずだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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