「障害と健常の間」とは何か ドキュメンタリー映画公開へ

映画への思いを語った佐藤さん(左)と石川さん=東京都内

 ドキュメンタリー映画「ラプソディ オブ colors」が5日から横浜シネマリン(横浜市中区)で公開される。障害のある人とない人、年齢や職業など多彩な人が集う場の日々を通じ、「障害と健常の間」とは何かを問い掛ける作品だ。

 舞台は都内のバリアフリー社会人サークル「colors」(カラーズ)。13年前に事故で頸椎(けいつい)を損傷し、障害当事者になった石川悧々(りり)さんが代表を務め、音楽ライブや素人寄席など、毎月10本近いイベントを企画している。

 そこに集まる人たちの姿を、監督の佐藤隆之さんが2018年5月から500日間撮影。石川さんや、障害者支援団体を運営する中村和利さんらの思いが映し出される。

 自作の曲のインターネット配信などをしている重複障害を抱える男性は「いろいろな人に、自分自身を再発見してもらいたくてあれこれやっている」と打ち明ける。風俗店に勤務していた脳性まひの女性は「障害者の性を当事者として発信していく気持ちがあったが、プレッシャーだった」と振り返る。重度障害者の外出などに付き添うガイドヘルパーの男性は、自らの経験を話しながら「障害者と自分に、ほとんど違いはない」と語る。

 一方、映画は障害がある人が直面する現実も描く。石川さんは障害が重くなった結果、行動を共にしてきた中村さんと決裂することになる。「当事者からすると、障害が重くなると周囲の人が離れることは多い。そうなったときにどうしようと思うのか、映画を見た一人一人が考えてほしい」と石川さん。

 障害の有無に関わらず、出演者の姿と、誰もが持っている思いが重なる部分も多い。佐藤さんは「登場人物と自分自身は地続きで、障害者と健常者の垣根はないと思ってもらえればいい」と話す。

 5、17日には石川さん、佐藤さんが参加するトークイベントも予定。問い合わせは、横浜シネマリン、電話045(341)3180。

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