新幹線長崎ルート 佐賀負担軽減策に交付税配慮 総務省が否定的見解示す

 九州新幹線長崎ルートで未着工の新鳥栖-武雄温泉(佐賀県)に関し、フル規格での整備を目指す与党検討委員会は4日、東京都内で会合を開き、佐賀県の財政負担軽減策を協議した。軽減策の一つに挙がっている地方交付税措置の配慮については、交付税を所管する総務省から否定的な見解が示された。
 整備新幹線の地方負担額の中には、後に県の財政状況に応じた割合で国から地方交付税が交付される分がある。与党検討委ではその割合を最大化して佐賀県の実質負担額を減らす案が出ている。総務省はこの点に「地方交付税措置は地方の共有財源」「公平性の課題があり、佐賀県以外の団体の理解を得られない」との考えを文書で示した。
 会合後、検討委の山本幸三委員長は「きつい回答だが、委員からは『フリーゲージトレイン(軌間可変電車)を導入できなかった経緯を含めれば、考慮する方が公平性がある』との意見も出た。国交省には総務省と交渉を継続するよう求めた」と話した。
 検討委では、貸付料(JRが国に支払う線路使用料)の徴収期間を現行の30年から延ばして県負担を減らす案も出ている。山本委員長によると、会合では延長に前向きな意見が出たが、国交省は「利用者や旅客収入の減少予想などでJRの受益が長期的に減る可能性もある。30年の場合より毎年の貸付料金額が低くなる可能性にも留意する必要がある」とも指摘した。
 並行在来線については、国交省が会合に先立ってJR九州に考え方を聴取。JR九州は「必ずしも経営分離を前提とはしない」としたが「佐賀県と国交省の協議でフル規格の選択肢にある程度のめどが付きそうな段階になれば議論を深めたい」と述べるにとどめた。
 ルートについては、佐賀空港を経由するルートなど三つの案について1~2カ月かけて試算することになった。検討委は来週も会合を開き、検討の方向性をまとめる予定。

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