パドレスのタティスJr.獲得から5年 Wソックスとのトレード

パドレスがホワイトソックスとのトレードでフェルナンド・タティスJr.を獲得してから5年の月日が経過した。トレードが決定したとき、タティスJr.は誰かから携帯電話を手渡され、電話の相手がパドレスのA・J・プレラーGMだったため「何かのいたずらかな」と思ったという。また、ウィル・マイヤーズは空っぽになったジェームス・シールズのロッカーを見て「交換相手は17歳か。この子に会うことはないだろうな」と思ったという。しかし、その17歳はチームの中心選手へと成長し、球界を代表するスター遊撃手として活躍中だ。

16歳のタティスJr.がホワイトソックスと契約したのが2015年7月2日(現地時間)。それから1年も経たない2016年6月4日(現地時間)、ホワイトソックスはシールズ獲得のためにエリック・ジョンソンとタティスJr.をパドレスへ放出した。タティスJr.はその時点でまだプロの試合に1度も出場しておらず、いつか素晴らしい遊撃手になるかもしれない若者をプレラーは「リスク」と表現していた。

しかし、このトレードはプレラーのキャリアにおいて最高の動きと言われており、今後もこのトレードを上回る成果を上げることはないだろう。シールズは2015年まで9年連続2ケタ勝利&200イニング以上という球界を代表する先発投手だったが、ホワイトソックス移籍後の2年半で16勝35敗、防御率5.31に終わり、2018年限りでメジャーの舞台から姿を消した。一方、プレラーが獲得したジョンソンとタティスJr.は、前者こそ期待外れに終わったものの、後者は球界を代表するスター遊撃手となり、今季は本塁打王争いのトップに立っている。

トレード当時のタティスJr.は球団別プロスペクト・ランキングでホワイトソックスの上位30人にランクインしていなかった。「冗談だと思った。ラテンアメリカからプロの世界にやってきて、まだ1試合もプレーしていない選手があんなに早くトレードされるなんて思いもしなかった」とタティスJr.は当時を振り返る。それと同時に、「(プレラーからの)あの電話が僕の人生を変えたんだ」とも語っている。

現在22歳のタティスJr.はメジャー昇格後、183試合に出場して打率.301、56本塁打、137打点、39盗塁、OPS.983という素晴らしい成績を残し、再建を終えて勝負モードに突入したパドレスの象徴的存在となっている。今年2月には14年3億4000万ドルという巨額の契約をゲット。パドレスがタティスJr.を獲得したトレードは、今後も事あるごとに時を遡って語られるに違いない。

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