本明川ダム工期8年延長 総事業費も230億円増 国交省が変更案

変更案が示された本明川学識者懇談会=諫早市内

 国が長崎県諫早市に計画する本明川ダムについて、国土交通省長崎河川国道事務所は4日、2024年度までとしていた工期を32年度まで8年延長する変更案を示した。付け替え道路の施工計画見直しなどが理由。工期延伸や事業進ちょくで判明した施工量の増加などで総事業費も現計画の約500億円から約730億円へ230億円膨らむ見通し。同日、市内で開かれた本明川学識者懇談会(夛田彰秀委員長、7人)で説明し、事業を再評価する同懇談会は事業継続を了承した。
 洪水調節など治水を目的とした同ダムは本明川上流の富川、上大渡野両町の一部に計画。総貯水容量620万立方メートル。完成後は1957年の諫早大水害相当の集中豪雨に対応できる機能を持つ。
 同事務所によると、当初はダム本体関連工事に支障が出る部分だけ先に迂(う)回路工事をし、その後、本体関連工事と並行して県道などの付け替え工事を実施する予定だった。だが、周辺に約70戸の家屋が残るため、工事中の一般交通の安全確保や騒音対策などについて最大限配慮する形で見直した。地元からも地域の実情を踏まえた整備を進めてほしいとの要望があったという。
 また、事業進ちょくに伴い、基礎掘削の施工量が約16万立方メートルから約32万立方メートルに増加することなどが判明。社会情勢の変化(作業員の働き方改革)も踏まえた。工事単価の見直し、消費税増税など社会的要因の変更も加わり、総事業費も膨らむ見通しという。
 工期などの見直しに伴い、本体工事の着手は24年度にずれ込む。堤高も約55.5メートルから約60メートルに変更する。今後、本省で正式決定する運び。同懇談会では「8年は長い」との指摘が上がった。同事務所は「残業を前提とした発注は今の時代できない。なるべく工期を短縮することができないかということを念頭に置いていきたい」とした。

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